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【メンバー日記】ジグソーパズルを仕上げた話


先日我が家に遊びに来てくれた客人からお土産として1000ピースのジグソーパズルを頂きました。パズルの絵はデンマークの著名な風景画家の絵だとのこと。精緻な筆使いの綺麗な風景画でした。

特にジグソーパズルを趣味としているわけではないのですが頂いたのに全く手をつけないというのも失礼にあたるかと思い、一念発起してパズルに取り組むことにしました。しかし始めてみたもののこれがまた途方もない作業でした。

外枠(外周の一列)を組み上げるのにはそれほど時間がかからなかったものの、いざ内部を作ろうとしてもなかなか進まない。専門的なウェブサイトでコツを仕入れてやろうとそれらしいところを覗き見たところ「色分けして作ると早い」と説明されていました。確かに無秩序にやるよりは効率が上がったようにも感じられましたが、一枚の絵の中で似た色を使っている箇所が複数あるためこれも直接的な解決法とはならず、結局はピースをよく観察して丹念に特徴を見出し、細部から少しずつ作っていく以外にありませんでした。結局開始から5日ほどかかってやっと完成し、客人に完成した写真を送ることができました(反応は特になし)。

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さて、ピアノの曲を仕上げることとジグソーパズル、ちょっと似ているところがあるなと思い至って今これを書き綴っている次第です。

皆様はピアノの曲を仕上げるにあたり、どのようなプロセスを踏んでおられるでしょうか。これは人によって様々でしょうけれども私の場合は、

いい曲といい演奏に出会う。自分でも弾いてみたいなぁと漠然と思い楽譜を見てみる。弾けそうだと感じたら楽譜を買うかプリントして自作する。ちょっと弾いてみる。難所にぶち当たり心が折れ、塩漬けにする。ある日一念発起して本気で取り組み始める。

丁寧に丁寧に音をさらう。ゆっくり通して弾けるようになる。技術的に困難な場所を克服するため部分練習を重ねたり、似たテクニックが使われているエチュードをやってみる。だんだん弾けるようになってくると「ここはこう響かせたい」などの表現をしてみたくなる。しかしうまく表現できなくて嫌になる。でも頑張って続ける。

といった感じです。

私はまず本気で弾けるようになろうと決心するまでにかなり高い壁があり、そこからも日々少しずつ途方もなく根気強い作業を継続することに苦労します。ピアノの練習はそれこそジグソーパズルとは比較にならないほどの根気強さが必要です!

ピアノとパズルは全然違いますが、まずは本気で仕上げようと思って始めないといけないところ、そして一気に仕上げる近道はなく、根気強く集中して続ける以外にないところ、ゴールが近づくとだんだんと楽しくなってくるところはよく似ているのではないでしょうか。

この中で特に根気強さと集中力は重要なところじゃないかなと思います。中には難曲をさらっと弾けるようになる猛者も勿論いらっしゃるのでしょうけれど。

当会には演奏会で素晴らしい演奏をされる方が多くいらっしゃいますがその方々が普段お忙しい中でどれほどの集中力と根気強さで練習に取り組んでいるかを想像すると実に胸が熱くなります。また普段の練習会でも練習中の曲を披露して頂く機会がありますが、丁寧に組み立てられた演奏というのは、たといその時点でまだ完成してなくともその後の進展が本当に楽しみになります。私にとってはそのような会への参加から得られる感動が刺激となって日々の練習の取り組みに生きている気がしています。

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ジグソーパズルのややこしさには辟易しもう当分やる気が起きませんが、しかしまあ、私たちピアノ弾きというものは何故にこうも面倒くさいピアノの練習を続けられるのでしょうか。これは多分にピアノ愛あってのことなのかもしれませんね。


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