0

【メンバー日記】心と身体について~よい演奏をするために大切なこととは~


メンバー日記

写真1の説明 私がPH会に入会してかれこれ一年経ちました。PH会では人前で演奏する機会が多いこともあり「人々の心に届くよい演奏をするためにはどうしたらいいか」について私も考えるようになりました。よい演奏と言うと、まずは指先のテクニックをどうするかということに関心がいきますが、もっと身体全体の動きを考えてほんの少しでも表情をつけて演奏することも大切であると『努力よりコツ!ピアノがうまくなるにはワケがある』(角聖子著)に書かれています。音符の並びである楽譜には言葉はありませんが、演劇の役者がセリフで感情を表現するときに息遣いや表情などの身体のしぐさを意識するのと同様にしてピアノの演奏を心掛けるといいのです。

写真2の説明 表情をつけることや呼吸を意識するという身体の動きがその人の演奏に色合いをつけて聴衆の心を動かすことに繋がることになるのですが、こうした心と身体の関係性について私がこれまで読んで面白いなと感じた本を参考にあげて述べていこうと思います。心と身体の関係性について、哲学や心理学の世界では長らくそれぞれ独立したものと見なす物心二元論的な見方が優勢でしたが、最近では心と身体は互いに混ざり合い密接な関係があると見なす考え方が主流になりつつあるようです。

写真3の説明 『動きが心をつくる』(春木豊著)では、気分・情動・感情・情緒・情操といった「心」のありようは身体の動きから生じる感覚であるとする「身体心理学」について紹介されています。本書によれば、人の反応にはレスポンデント反応(生理的反応、無意識的)とオペラント反応(意図的反応、意識的反応)に分けられるが、これら二つの反応にまたがる反応であるレスペラント反応(筆者の造語)が新たに考えられるとしています。レスペラント反応とは生理的反応ではあるが、ある程度は意識的に行えるような反応のことです。具体的には①呼吸反応②筋反応③表情④発声⑤姿勢反応⑥歩行反応などが挙げられます。例えば、長い呼吸をした方が落ち着いた気分になる傾向が大きくなります。脳研究者であり多くの著作物を出している池谷裕二氏も『脳には妙なクセがある』で心と身体の関係について言及しています。本書では、箸を横にくわえて強制的に笑顔に似せた表情を作ると「快楽」に関係した神経伝達物質であるドーパミン系の神経活動が変化するという研究が紹介されています。つまり楽しいから笑顔を作るというより、笑顔を作ると楽しくなるという逆因果が、私たちの脳にはあることがわかります。

写真4の説明 緊張するから浅い呼吸になり、無表情で身体もこわばりますが、そんな時は長い呼吸を意識してするようにして、身体も脱力して表情を豊かにして演奏すればより素敵な演奏になるのではないでしょうか?聴衆を感動させるより一層のよい演奏をするためには指先のテクニックも大切ですが、日常生活の中で感受性豊かにしていろいろな物事に感動することも大切なのではないでしょうか?私自身はこの一年間PH会では様々な感動を経験することができましたが、私の演奏も前より少しはよい演奏に近づけたのではないのかなあと思っています!

似顔絵Takashi:日常生活の些細なことでも素直に感動できる人は男女ともに惹かれます!

 


Leave a reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>