0

【メンバー日記】グリッサンドを弾きたい


 コロナ影響で出張はおろか出勤までなくなり、譜読みが捗っております。ついに、金沢の思い出の曲、『パプリカ』を通しで弾けるようになりましたが、仕事で金沢に行く予定が全く無くなってしまい、悲しい限りです。


 さて、前置きは置いておいて、たまには役に立ちそうなことを書いてみようと思ったので、稀によく質問されるグリッサンドについて書いていきたいと思います。

 グリッサンド・・・クラシックではあまり出てきませんが、ポップスではガンガン出てきます。グリッサンドは目立ちはしますが、実際は曲に抑揚をつけるためのおまけ的なものだと思います。なので、曲の流れに乗って自然にやることが肝要なのですが、普通の打鍵とあまりに違いすぎて身構えてしまう方も多い気がします。

 という訳で、常日頃からグリッサンドをしまくっているという観点から、私的なコツを述べたいと思います。でもグリッサンドはほぼ完全に我流なので、正しいかどうかは分かりません。


 まず具体的な話をする前に言っておきますが、グリッサンドが弾けるかどうかは大部分が気持ちの問題です。フォルテで弾くにせよピアノで弾くにせよ、ある程度の思い切りが大事です。
 まずは楽譜を見て、グリッサンドの存在意義について考えましょう。「もう絶対ここでグリッサンド弾かな、曲が成り立たん」というような、背水の陣的な気持ちになっておくと良いです。

では、具体的な話を…

★★★手の形について★★★

 グリッサンドに抵抗を感じる原因の一因は「痛そうだから」ではないでしょうか?確かに、グリッサンドをするのが痛いか痛くないかと聞かれたら、そりゃあ痛いと答えます。

 そこで、まずはそこまで痛くない方法を紹介します。

 右手で音階を上げるときは、小指と薬指の爪を鍵盤に少し立てるようなイメージで、音階を下げるときは、鉛筆を持つような手の形にして親指の爪を鍵盤に当てます。その形で、気持ち下向きの要素を入れながら横に平行移動する感じで手を動かします。

「小指と薬指」と書きましたが、薬指と中指とかでも全然良いでしょう。って言うかグリッサンドの自撮りセンスなさすぎ。

 この方法は、グリッサンドに慣れる上ではかなり有効だと思いますが、爪が鍵盤にあたる時のカチカチ音が少し気になります。また、硬いものを鍵盤にぶつけることになるので、痛くはないですが衝撃は結構あります。
 もし気になるようなら、爪の横の皮膚や、爪の上の部分の皮膚の部分でグリッサンドをします。この方法は爪でやるよりは痛いので、私は鍵盤の重さで使い分けるようにしています。

まあ、発表会とかでグランドピアノを蓋開けて弾くなら、爪のカチカチ音はほとんど聴衆まで届かないので、気にしなくてもいいと思います。まずはこの方法で感覚はつかめると思うので、そこから自分なりにやりやすい様に改良していくのが良いでしょう。

★★★弾き方・考え方★★★

 楽譜を見ると、グリッサンドは一応「この音からこの音までやる」みたいな表現にはなっていますが、気持ちだけはもっと大きめに(広めに)思っておくと弾きやすい気がします。

 それから、力むとめっちゃ痛いです。痛いからと言うことで身構えて力んでしまうとますます痛くなります。「痛いけど、しょうが無いよね…」っていうバレーボール的な考え方(知らんけど)で、リラックスした状態が良いです。

 鍵盤と接するのは手だけですが、腕全体、体全体で弾くようなイメージでやると良いです。身体を開いて弾くような感覚です。
 
 まずは、何回もやって、痛みや衝撃に慣れておくのが良いと思います。

★★★おまけ:てのひらグリッサンド★★★

 普通のグリッサンドでは物足りない方向けです。一度に掴める鍵盤の数が多い為、重厚なグリッサンドができます。

 爪や指でやるときと違い、下に向けて体重をかけるイメージです。(実際に身体はほとんど動きませんが)進行方向に向けて体の中心を回転させながら、体重で鍵盤を押す感覚ですね。言葉で言うのは難しいのですが。
 この方法の最も良い点は、「やるとテンションMaxになること」です。ポップスはまず自分が楽しく弾いてナンボという世界なので、結構重要なポイントです。

 手の形を気にする必要が無いため、かなり出が早く、また、手をたたき付けるように使えば打楽器を思わせるような音が出せます。両方ともクラシックでは役立たないでしょうが、ポップスだとうまくやればかなり味が出ます。

 欠点は、そう、結構痛いことです。特に鍵盤が重いとかなり痛いし手も真っ赤になります。私はたまに演奏中に歯を食いしばる事がありますが、歯を食いしばる要因の第二位がグリッサンドです。ちなみに第一位は「スタミナ切れ」です。

===================

という感じです。グリッサンドに「正しい」などという概念は存在しないと思うので、色々試しながらご自分に合う方法を見つけて下さい。慣れてくると、体重の載せ方や指の乗せ方で表現のバリエーションを出せるようになります。

最後になりますが、「グリッサンドって、パンに何を挟んでるんですか?」と思った事がある方は、正直に挙手願います。


Leave a reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>