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【メンバー日記】江戸川総力戦~挑戦者たち~


X…

令和元年10月、東京の下町でピアノの発表会を予定していた。

江戸川発表会である。

チラシ、ポスター、プログラム、すべては順調に準備が進んでいた。

あとはピアノを弾くだけだった。

しかし、恐れていた事態が起きた。

10月12日、台風19号直撃である。

数十年に一度の大型台風だった。

発表会は中止を余儀なくされた。

何ヶ月も前から練習していた。
何ヶ月も前から準備していた。

すべてが水の泡となりそうだった。

誰もが落胆した。

そんな中、諦めない男たちがいた。

どうしても発表会をやりたい、そんな情熱があった。

男たちは奮い立った。

発表会は半年に一度ではない、一生に一度だ。

これは、ピアノ発表会へ執念を燃やした男たちの物語である。

プロジェクトX…

(風の中のすばる~♪砂の中の銀河~♪皆どこへ行った~♪見送られることもなく~♪)
中略
(人は空ばかり見てる~~♪)
(つばめよ~高い空から~♪教えてよ~地上の星を~♪)
(つばめよ~地上の星は~♪今どこに~あるのだろう♪)

プロジェクトX、今夜は「江戸川発表会」です。
江戸川発表会の準備、台風による中止、曳舟発表会開催に至るまでをお届けします。
————————————-

令和元年9月、神奈川県関内では3サークル合同発表会があった。
ピアノサークル初の試みだった。
ぶっつけ連弾、仮装、前奏曲、、企画は成功だった。

続く、江戸川、稲城発表会も成功させたい。
ハードルは上がっていた。

発表会オリジナルTシャツを作った。

チラシ、ポスター、プログラムもできた。

すべては順調だった。

あとはピアノを弾くだけだった。

しかし、、、

10月7日、「う~ん、嫌な進路ですね…」
太平洋沖で台風19号が発生してるとの一報が入った。

関係者に一抹の不安が駆け巡った。

10月9日、いよいよ台風直撃が現実味を帯びてきた。
いざというときは中止もやむを得ない。
判断を仰いだ。

「基本的に中止はありえません」発表会統括が檄を飛ばした。

出演者、スタッフ、実行委員、それぞれ発表会へ向けて費やした膨大なエネルギーを考えると当然の話だった。
頼むから台風来ないでくれ、それは関係者全員の希望的観測だった。

10月10日、出演者やスタッフからもキャンセルの連絡が相次いだ。
このまま中止になったらどうするか、考える必要が出てきた。

10月11日正午、鉄道各社から計画運休の知らせが出された。

事実上、開催不可能となった。

発表会中止の判断が下された。

悲しむ暇はなかった。

公式サイト、mimi、発表会特設ページ、各種SNSで迅速に中止の案内が出された。

10月11日夜、今後の対応の検討が本格的に始まった。
なんとかピアノを弾く機会を設けたかった。

11月の稲城発表会に振り替えられないかと考えた。
しかし、稲城発表会はもう枠が無かった。

秋の発表会で出演枠を設けるのは絶望的かと思われた。

そんな中、
「せっかく皆さん準備をしてきたので、新しい会場を探すのはどうですか?」
ひとりの男が立ち上がった。

発表会の準備に何ヶ月もかけていたのを知っていると、
会場探し、日程調整、短納期ではとても現実的とは思えなかった。

だが、男たちは諦めなかった。

10月12日、台風が迫りくる中、会場探しが始まった。
江戸川出演者以外からも次々と情報が入ってきた。

夕方、台風19号は関東を直撃した。
川は氾濫寸前まで迫っていた。

かつて見たことのない光景に圧倒された。

台風とも戦いながら、代替会場としての候補をあるホールに絞った。

杉並公会堂である。

急遽、出演者を募った。

代替会場で発表会ができるかもしれない、そんな期待が高まっていた。

10月13日朝、電話をかけてくれたメンバーから予約できなかったとの連絡が入った。

熱が一気に引いていくのが分かった。

出演者たちはモチベーションを維持できなくなっていた。

現場は疲弊していた。

これ以上、新しい会場を見つけて調整するのはあまりにも労力がかかる。

実行委員もサービスでやっているわけではない。
ましてや、お金など貰っていない。

ただ、皆で積み上げたものを無駄には出来なかった。

その想いに突き動かされた。

その晩、緊急集会を開いた。

もう少し粘って代替会場が取れなかったら諦めるという方針に固めた。

その候補が仙川フィックスホール、曳舟文化センターである。

ラストチャンスだった。

緊張が走った。

男たちは最後の望みをかけて動き出した。

10月16日、第1候補としていた仙川フィックスホールから予約が取れないとの連絡が入った。

いよいよ終わったか、諦めかけていたその矢先、

「曳舟文化センター、11/3(日)夜間で仮予約を取りました!」

希望に満ちた声があたりを駆け巡った。

歓喜に湧いた。

「良かった…」と、胸を撫で下ろした。

江戸川発表会は、改め、曳舟発表会となった。

PH会は全員運営というスタンスだが、まさに総力戦である。

今もなお、ピアノ発表会へ向けて、男たちは戦っている。

(語り継ぐ~人もなく~♪ 吹きすさぶ~風の中へ~♪)
(紛れ散らばる星の名は、忘れられ~て~も~♪)
(ヘッドライト~テールライト~♪ 旅はまだ終わらない~♪)
(ヘッドライト~テールライト~♪ 旅は~まだ~~終わらない~~~♪)

注:語感の都合で「男」と表記していますが性別は関係ありません。男女関係なく皆さん大活躍しています。
ノンフィクションです。

11/3に振り替えられない江戸川出演者へは、別途プランも考えております。
どうしても発表会に出たい、そういう方は連絡ください。

by R.Y.
ピアノ以外の趣味:
鉄道、史跡巡り、ボードゲーム、映画、読書

今思えば技術者になってしまったのは、プロジェクトXのせいもあるかもしれない。
しかし、現実はあんな熱い展開まず訪れない。
好きなプロジェクトXの話は東海道新幹線0系。


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