週末はいよいよ春の定期演奏会ですね。
ご準備頂いてるみなさんありがとうございます。
さて演奏会とは別の話しなのですがフランツ・リスト作曲の「エステ荘の噴水」ってご存知でしょうか?
この曲はリストの作品の中でも特に好きな曲なのですが、実は、先月この曲のタイトルにもなっているエステ荘(貴族エステ家の別荘)に行ってきました!いつかこの目で本物の噴水を見てみたい!とずっと思っていたので感動でした。
エステ荘はイタリア ローマ中心街から電車で1時間ほど、ティヴォリという小さな街にあります。
古代ローマ遺跡なども点在し、歴史が感じられる街でした。自然も豊かで古代から貴族の保養地だったそうです。エステ荘は今から500年ほど前に枢機卿イッポーリト2世・デステによって築かれました。庭園には高低差を巧みに生かした大小500もの噴水があり、「イタリア一美しい庭園」とも称されているそうです。
ティヴォリ駅からエステ荘までは徒歩圏内で、この日は寒かったためか観光客はほとんどおらず、とても静かでした。(というよりも人がいない…笑)
建物に入ると天井や壁が風景や神話で描かれた部屋がいくつかあり、窓からは庭園やティヴォリの街並みを一望できます。元々修道院だった建物を改装し別荘として使用されたそうです。
リストは晩年、この地をたびたび訪れ「巡礼の年第3年」の中の3曲を作曲しました。中でも特に「エステ荘の噴水」は演奏機会も多く有名な作品だと思います。
華やかな演奏スタイルで知られるリストですが、晩年は精神的にも落ち込むことが多く、宗教的な作品を多く残したそうです。その中でこの曲は晩年の作品には珍しく、明るく華やかな曲調です。
庭園には動物を模した噴水や水圧でオルガンを鳴らす「オルガン噴水」などもありとても癒されました(笑)水が流れる音ってなんか良いですよね…
リストの「エステ荘の噴水」は水の流れを繊細かつダイナミックに描写し、まさに噴水そのものを音楽にしたという感じです。私はまったく弾けないのですが(笑)、この世界観は本当にいいなと、聴いていていつも癒されます。
後にドビュッシーの「水の反映」やラヴェルの「水の戯れ」などにも影響を与えたそうです。(知らなかった…!)
↓リスト作曲「エステ荘の噴水」(演奏:辻井伸行さん)
人情に厚く、面倒見も良い性格だったと言われるリスト。情熱的な一面とは対象に噴水を繊細に表現できる感性と人柄もリストの魅力だなと改めて感じました。
晩年のリストはこの曲をどんなふうに演奏したんだろう…そんな思いを巡らせながらエステ荘を後にしました。