どうも、T.N.です。今日も元気にストリートピアノ日記を書いていきたいと思います。
今回訪れたのは、大阪駅。関西最大のターミナルとして多くの人が行き交う場所です。駅舎は近代的で、ガラス張りの大屋根が印象的。行き交う人の多さや活気ある空気感には、いつ訪れても圧倒されます。
エスカレーターで5階へ上がると、「時空(とき)の広場」が広がっていました。大屋根の下、人工芝のスペースでは人々が腰を下ろし、談笑しています。ちょうど金曜の夕方ということもあり、仕事帰りの人や買い物客がそれぞれの時間を楽しんでいました。大都会の真ん中にありながら、ほっと一息つける空間です。
広場には「バール・デルソーレ」というバルがあり、その一角にアップライトピアノが設置されていました。華やかな幾何学模様で彩られた外装はとても目を引き、この空間の中で強い存在感を放っていました。
カウンターでコーヒーを注文し、席に着くとちょうど人が途切れていたので弾かせていただくことに。選んだのはベートーヴェンのソナタ31番3楽章。駅構内らしく、電車の走行音や人のざわめきが広場の空気に混ざって耳に届きますが、それが自然と伴奏のように感じられました。ピアノは消音仕様になっていて、音が周囲に広がりすぎず、気楽に演奏できるのもありがたいところ。鍵盤は適度な抵抗感があり、表現をしっかり受け止めてくれる感覚で、気持ちよく弾くことができました。カフェ全体にゆったりとした時間が流れ、心地よいひとときでした。
演奏を楽しんだあとは、梅田から御堂筋線で隣の淀屋橋へ。大阪のメインストリートである御堂筋を南に歩くこと5分ほどで、「オービック御堂筋ビル」に到着します。ここは筆者のお気に入りのストリートピアノスポットで、大阪出張のたびに立ち寄っている場所です。
館内にはヤマハのグランドピアノが置かれていて、ちょうど若い男性がショパンのノクターンを演奏していました。その深みのある音色に思わず聴き入ってしまいます。演奏が終わると、その場の数人が一斉に拍手を送りました。
話しかけてみると、ここで人前で弾くのがルーティンになっているとのこと。筆者が神奈川から来たことを伝えると驚かれ、大阪のストリートピアノ事情について色々教えてくださいました。同年代ということもあって、すぐに打ち解けて話し込んでしまいました。
そこへ年配の男性も加わり、「私は長いことクラシックから離れてジャズばかりだったんですが、ここで皆さんの演奏を聴くうちに、またやりたいと思うようになって。彼に刺激を受けて最近はショパンのノクターンを練習しているんです」と語ってくださいました。この場所が人をつなぎ、音楽に再び向き合わせるきっかけになっていることに心を打たれました。その男性のノクターンも聴かせていただきましたが、晦渋な味わいがあり、強く惹きつけられる演奏でした。あんな深みを出せるようになりたい、と素直に思いました。
次に登場したのは小学生くらいの女の子。「吉本新喜劇のテーマ」という、大阪らしい選曲にほっこり。その後のモーツァルトのソナタは、正確さと構成感が際立ち、小学生とは思えないほどの完成度に驚かされました。お母さんによると、もうすぐコンクール本番を控えており、その仕上げとしてここで弾いているとのこと。本当に素晴らしい経験の場だと感じました。
いよいよ筆者の番。ここではショパンの舟歌を選びました。ガラス越しに御堂筋を流れる車の光景を眺めながら演奏すると、反響が心地よく返ってきます。調律の行き届いたピアノは力強さも繊細さも自在に表現でき、思い描いたとおりの音を奏でることができました。演奏後、その場にいた皆さんから温かい拍手をいただき、とても嬉しい気持ちになりました。
こうして皆で交代しながら演奏を続けると、あたりはすっかり暗くなりました。そろそろかと思い帰途につこうとしたところ、最初にノクターンを弾いていた彼が声をかけてくれました。「明日、特にお気に入りのピアノを巡るつもりなので、もし良かったらご一緒にどうですか?」と。せっかくいただいたご縁なので、この日は大阪に泊まることにしました。皆さんにお礼を伝え、彼には「また明日会いましょう」と約束して、その場を後にしました。
【今日の飯テロ】
今回は梅田の名門サウナにて。大阪出張の帰りには、ここに立ち寄るのがいつも楽しみだったりします。
名物は「ちゃんぽん」。サウナでしっかりととのったあと、湯上がりの体に染み渡るスープとたっぷりの具材ーこれがまた、うめぇんだ。
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