どうも、T.N.です。今日も元気にストリートピアノ日記を書いていきたいと思います。
※今回の日記は、「岐阜・愛知ストピ巡り編」の続編です。
岐阜・愛知のストリートピアノを巡る旅、今回はいよいよ最終回です。
布袋駅のストリートピアノで心温まるひとときを過ごした筆者。そのあと名鉄線に乗ってさらに北へ進み、犬山へ向かいました。到着したのはお昼過ぎ。天気も良く、散策にはちょうどよい時間帯です。
駅から犬山城を目指して歩き出すと、道沿いには古い町並みが続いていて、瓦屋根の風景が目を楽しませてくれます。日曜日ということもあり、通りはたくさんの観光客でにぎわっていました。皆さん串ものや甘味を手に、思い思いのペースで城下町の時間を楽しんでいるようでした。
犬山城に向かう通りの途中、「神のまにまに 本町茶寮別邸」というカフェに立ち寄りました。どうやら人気のお店らしく、店頭のカウンターの前には多くの人が列をなして並んでいました。カウンターで注文を済ませた後は、番号札を受け取って中へ入ります。
店内に入ると、そこはたくさんのランタンに照らされた鏡張りのフォトジェニックな空間。鏡に反射するやわらかい灯りのなか、着物姿の若い女性たちが写真を撮りながら、楽しそうに過ごしていました。部屋の奥には引き戸がありました。静かに開けてみると、そこには真っ白な空間が広がっていて、その中央には白いグランドピアノが置かれていました。シャンデリアの光を受けて、静かに佇んでいます。
こちらのピアノはストリートピアノとして開放されているとのこと。部屋の中には誰もいなかったので、せっかくの機会に一曲、弾かせていただくことにしました。演奏したのは、ベートーヴェンのソナタ第31番第1楽章。音は壁や天井によく反射し、そのひとつひとつが部屋中に鳴り響きます。鍵盤の戻りも素直で、とても弾きやすいピアノでした。
中盤あたりで、先ほど鏡の間にいた女性二人組がそっと引き戸を開けて入ってきました。中の様子を確かめるように静かに足を運び、部屋の隅に腰を下ろして演奏を聴いてくれました。最後の和音を弾き終えると、ふたりから拍手をいただきました。こうして聴いてもらえるのは、やはり嬉しいものです。
「私も、弾いていいですか?」と、ひとりが声をかけてピアノの前へ。
ひとりが演奏に向かい、もうひとりがスマホでその様子を撮影。「こんなに映える場所でピアノが弾けるなんて、なかなかないから」と、小さく笑って話していました。奏でられたのは快活な雰囲気のポップス。パワフルな響きが部屋いっぱいに広がって、先ほどまでとはまた違った明るい空気が満ちていきました。その演奏に元気づけられた筆者は、心からの拍手を送りました。
犬山でのひとときを楽しんだあと、次に向かったのは小牧駅。目的地は駅直結の名鉄小牧ホテル。こちらのロビーでは、宿泊者以外でもグランドピアノを弾くことができます。
フロントで受付の方に一声かけてピアノをお借りできるかうかがったところ、快く了承いただきました。
「ホテルで演奏するとは、緊張で体が火照るな…」
ホテルのロビーという、どこか背筋の伸びるような静かな空間で弾かせていただけるのは、とても貴重な経験です。ソファには数人のお客さんがいて、くつろぐ方や静かに会話を楽しんでいる方の姿が見られました。
この日演奏したのはショパンの「舟歌」。ロビーの落ち着いた空気に合わせるように、控えめなタッチで演奏しました。その分、音の一つひとつに意識が向き、このような空間で演奏できることの喜びがいっそう心に沁みました。
曲が終わると、遠くの席からふと目が合い、軽く拍手をいただきました。ささやかな反応でも、こうして誰かと一瞬だけ共有する時間には特別なものがあります。今回の演奏が、ほんの少しでも誰かの滞在の記憶に残ってくれたらいいなと思いながら、そっと蓋を閉じました。
こうして、筆者の岐阜・愛知のストピ巡りの旅は幕を閉じました。2泊3日の行程の中で、さまざまな場所でピアノに触れ、たくさんの人との出会いがありました。
ストリートピアノを通して生まれるご縁のひとつひとつが、この旅の何よりの思い出です。お会いしたすべての方に感謝の気持ちでいっぱいです。また、ぜひ弾きに行きたいと思います。
おまけの話をひとつ。犬山にはもう一か所、ストリートピアノが設置されている場所があります。
それが、犬山駅前にあるショッピングセンター「キャスタ犬山」。3年ほど前に犬山を訪れた際、1階売り場の一角に置かれたピアノを弾かせていただきました。
店内のお買い物エリアのすぐそばにあり、まさに日常の中にあるピアノといった雰囲気。音を楽しみながら通り過ぎる方、少し足を止めて聴いてくださる方、そんな人たちの気配に囲まれて、あたたかな気持ちで弾けたことを覚えています。そのときに演奏したのもショパンの「舟歌」。演奏後、通りすがりのお客さまが「この曲、好きなんです」と声をかけてくださったことが、とても印象に残っています。
今回はイベントが開催されていたためピアノを弾くことはできませんでしたが、またタイミングを見て訪れてみたいと思います。
【今日の飯テロ】
今回は犬山でひつまぶしをいただきました。表面は香ばしく焼かれていて、箸を入れると中の身はふっくら。タレの味は濃すぎず、うなぎの香りを引き立ててくれます。お出汁も本当に美味しくて、最後まで飽きることなく、きれいに完食しました。
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