1/9に上野の旧奏楽堂でニューイヤーコンサートが行われました
重要文化財という伝統と格式があるホールで、この会でも「一度は弾いてみたい!」という人も多いホールです。
そんな奏楽堂ですが他の発表会場と違う点が「クラシックしか弾いてはいけない」という縛りルールがあること。
ピアノを弾く人の多くはクラシックを弾くので大して気にならないルールなのかと思いますが、私のように大河ドラマの曲しか弾けない人間にとっては最も鬼門となる条件です。
「よっしゃこのホールで弾くためにクラシック練習しよ!」ってなれば良いのですがそういうこともなく、自分には縁のない演奏会だなって最初は思っていました。
その流れが急激に変わったのが去年の11月21日。
この日は2020年度秋定期演奏会の最終回が三鷹で行われました。
その二次会中、諸々あって最終的に私がPH会でもトップクラスの技量を持つラヴェル弾きのSくんと奏楽堂で連弾することになりました。
以前彼とはぶっつけ連弾で一緒に弾いたことがあったのですが再びのコンビ結成、そして私にとっては人生初のクラシックに挑むことが決まりました。(なんでかはわかりませんが4回位土下座した記憶はあります)
ただ私とS君とではその技量には月とミジンコほどの差があるため曲目も相当限られます。
そんな状況でS君が提案してくれたのがラヴェルの「マ・メール・ロワ」の第一曲目「眠れる森の美女のパヴァーヌ」
1分半ほどの曲で私でも弾けると推されました。ラヴェルというとゴジラのテーマ曲の元ネタを作った人という知識くらいしかなかったのですが、確かに楽譜を見ると頑張れば弾けそうという気がする曲でした。
担当はペダル使いたくないという理由で私がプリモ、S君がセコンドで決定。
こうして練習を始めたのですがもう一つ問題だったのがそもそも奏楽堂に出れるのかということ
前に書いたようにこの会場は人気会場なのですぐに参加者が埋まってしまいます。
既に募集枠は埋まっているのに応募フォームには「空いたら弾きたいです!」という志願者もいたくらいでした。
運よく開催一ヵ月前に募集の枠が追加されることになりましたが、熾烈な枠の争奪戦となることが予想できました。
朝8時に枠が解放されると告知されていたので前日は大事を取って早めに就寝、個人パソコンが不調になった時に備えて在宅勤務用パソコンとスマホスタンバイ、そして「参加しますよろしくお願いします」という文章を予めコピーしておくと言う念に念を入れた対策を
行い待機してました。
朝8時になった瞬間に仕事で培った怒涛のF5連打、ついで枠が増えた瞬間に仕込んだCtrl+Vでコメントを入力し参加ボタンを押すという華麗なる流れで無事参加枠をゲットしました。
大人げないと言われようが言われまいが戦いは勝たなきゃ意味がないです。が、朝っぱらから何に力入れてんだ私
ということで無事参加権もゲットして本格的に練習することにしました。
調べてみるとこの曲は「眠りの森の美女」をモチーフにしているとのこと。「眠れる森の美女ってお姫様が毒リンゴ食べて寝ちゃうけど王子様が起こしてくれてでもその王子様が野獣なんだっけ」っていう位には知識がなかったのでディズニーのアニメ見てみたり本を読んでみたりと雰囲気もつかんだりとかもしてみました。
その過程で分かったのが、このお話の舞台になるお城のモデルが「ユッセ城」というフランスにあるお城だということでした。
ヨーロッパのお城というと日本と違って石造りだし高い塔もたくさん立てたりと頑丈さが全然違うというイメージがあるのですが、日本の城は逆に堀や土塁といったお城の防御機能に重要さを置いていて・・・
(以下略)
と、趣味のお城勉強も絡めてなるべく楽しくなるよう練習してました。
年が明けて1月になって始めてS君と合わせ練習を開始。
これまではS君が送ってくれたセコンドの音源を使って練習していたのですが実際の合わせだと緊張感や弾き方など一人練習ではわからなかった課題点も出てきて「ぶっつけ連弾にならなくて良かったー」って思いました。
連弾楽譜も読み慣れておらずS君に手取り足取り手ほどきを受けました。
ベテランS君のスパルタ教育のおかげで何とか人前で弾けるくらいにはなったのですが、それでもなかなか緊張が解けるものではありませんでした。
発表会前日になると結構緊張度が高まります。
ソロででるときはこんなに緊張しないのですが連弾となると自分だけの問題ではなくなってしまうし足引っ張りたくないなぁという思いでもうガクブル状態です。
夕飯を作る気力もあまり起きず、家にあるもので何とかしようと冷蔵庫をみたら入っていたのは買いだめしてるパスタとおやつ用で作っていたゆで卵。
買い物も面倒なのでこいつらで腹を膨らませようとしましたが、ここで事件発生
ちょっとくらいならいいだろうとレンジで30秒くらいゆで卵をチンして噛んだ瞬間
パン!
といういい音を立てて卵が破裂
え、テロ?奏楽堂に出れなかった人からの復讐?
と思いましたがすぐにレンジでチンがやばかったと判明。
いや卵をチンしてはいけないとは知っていましたがたった30秒だし殻をむいたゆで卵だし大丈夫だろうと思ったのが間違いでした。今までも何回かやってたのに・・・
こうしてテンションも下がって悪夢のような夕飯を食べました。片付けが大変でした。
こんなことがあっても緊張は続き当日は9時に集合ということだったので0時には布団にもぐりこんだのですが結局寝つけのは3時くらいという状態でした。
こうして迎えた当日
去年は出演そのものがなく超余裕だったので早めに行って寛永寺の散策や西郷さんの銅像を見に行ったりしたのですが今年はそんな心の余裕は全くなく奏楽堂に直行。会の人に会っても年始の挨拶を忘れてました
リハでステージに登った時は「あー本当にここで弾くんだ・・・」っていう感慨くらい抱くのかと思ったのですがそんなことはさらさらなくガッチガチで演奏。音を外さないで弾くことに全集中してました。
私たちの出番は最初から2番目だったので早々に舞台袖で待機。その間最初に話すコメントを考えようかと思っていたのですが案の定そんな心の余裕は全くなく何も考えないまま出番が回ってきてしまいました。
せめて緊張感は顔に出さず出ようと思っていたのですがいろんな人によって「死にそうな顔」で出てきたことが発覚。
いやまぁ普段からそんな顔なのであくまで普通通りだったということでしょう。
S君がきちんと挨拶していた一方、私はユッセ城について語ってやろうかとちょこっとは思っていたのですが口から吐き出されたのは「頑張ります」という一言のみ。
椅子に座ってS君が弾きだしてからすぐにスーツのポケットがぶるると振動。いつもスマホは電源落としてポケットにいれっぱなしなのですが今回は電源を落とし忘れておりこれ以上ない最悪のタイミングで着信がきたようです。
ただいい意味で緊張が少し解けたのも事実で練習やリハーサル通り、私の発表会史上初めてつっかえずに通しで弾くことができました。
何とか弾き終わることができ退場。個人的には「うん、よくやった」という感じです。緊張しすぎてマスクを外し忘れたこと以外は。
こうして初クラシックの発表会は終了。
緊張から解放されてその後の人の演奏は心穏やかに聴くことができました
会に入ったころはクラシックほとんどわからない勢だったのですがさすが2年くらいいると徐々に分かるようになってくるもので以前の奏楽堂よりも聴く側としてより楽しく参加できました。
そして実際に練習して弾いてみるとクラシックもいいなという思いが強くなりました。
次はソロでもチャレンジしてみたいし連弾もしたいです。
特にS君には曲選定から実際の練習までかなりお世話になりました。本当にありがとうございました。
なんで連弾することになったのかやっぱり思い出せないのですが、また連弾していただけるとすごくうれしいです
その時はまたペダル使わなくていい曲をお願いします
あ、演奏中かかってきた電話はN〇Kからの電話で「オタクでBS放送見れますか?!見れるのであれば今この電話で契約可能です!!!」という悪魔のような電話でした
演奏前にかかってこなくて良かったです。
※本当は奏楽堂でやらかしたら切腹不忍池入水したうえでこの題名の日記を書き散らす予定だったのですが命つながったのでこっちの日記書きました
ちゃんといつかお城の歩き方書こうと思います
おわり
by R.O
ピアノ歴:小学生6年間、現在~
好きな作曲家:久石譲 ドビュッシー ラヴェル
その他の趣味:日本史、書道、読書、旅行、ゴジラ映画を見ること、在宅勤務中にyoutubeでクラシックと歴史解説動画を聴くこと
緊急事態宣言が世間を騒がせていますが私のお財布は常に金求事態宣言を出しています