どうも、T.N.です。
今日も元気にストリートピアノ日記を書いていきたいと思います。
11月8日(土)、今回訪れたのは品川区の「朋優学院高等学校」です。
この日は、ここで「若葉音楽祭」というイベントが開催されていました。
校舎の玄関を入ると、受付の前で生徒さん2人が迎えてくださいました。
そのすぐ横には、書道部の素敵な作品を背景に、1台のアップライトピアノが置かれていました。黒の艶消し仕上げのボディに、堂々と輝くスタインウェイのロゴ。そして側面には、角野隼斗(かてぃん)さんのサインが刻まれており、ひと目で特別なピアノであることが伝わってきます。
こちらの「かてぃんピアノ」は、角野さんが立ち上げた「角野隼斗 UPRIGHT PIANO PROJECT」によるものだそうです。コンサートなどで使用しているアップライトピアノを、全国の希望する団体へ無償で貸し出しているとのこと。
実はこの「若葉音楽祭」は、2023年に当時2年生だった生徒の発案で始まったイベントだそうです。
その生徒さん自身もピアノを弾く方で、コンクールにも出場していたとのこと。憧れの角野さんの活動を知り、「自分たちの学校にもこのピアノを迎えたい」と強く願い、先生方や生徒会を巻き込みながら準備を進めたのだそうです。
調律や運搬などにかかる費用は生徒会費を充てて賄い、企画から実現までに1年以上の期間を要したとのこと。
そして、2024年秋についに「若葉音楽祭」が実現し、ピアノが置かれることになりました。今年は2回目ということです。
「ピアノを設置して、音楽でつながる場所をつくりたい」というその思いに、ただただ頭が下がる思いでした。
土曜の昼下がり、校舎の玄関ホールには穏やかな時間が流れていました。
部活動で登校してきた生徒たちが時折通り過ぎる以外は、静かで落ち着いた空間。
受付の方に声をかけると、「ぜひ弾いていってください」と笑顔で答えてくださいました。
今回も、ベートーヴェンのソナタ31番から1楽章を演奏しました。
ピアノはスケルトン仕様になっており、弦が動く様子を見ながら弾けるのがとても新鮮です。ハンマーと弦の間にはフェルトが挟まれており、そのおかげで音は柔らかく、上品な響きを湛えています。
それでいて高音域は輝くように澄んでおり、弾いているうちに心が揺さぶられるようでした。
スタインウェイらしい軽やかなタッチで、とても気持ちよく演奏できます。
調律もよく行き届いていて、このピアノをここに迎えるまでに関係者の方々が丁寧に準備を重ねてこられたことが伝わってきました。
演奏を終えると、お二人とその場にいらした先生、警備員の方から温かい拍手をいただきました。
その後、受付のお二人と少しお話をさせていただきました。
こちらのピアノを設置してから、多くの生徒さんが興味を持ち、気軽に演奏を楽しんでいるそうです。また、校外から地域の方が訪れて弾いていくこともあるとのことで、地域とつながる素敵な取り組みだなと思いました。
お二人のうち一人はピアノを弾くとのことで、お願いして一曲聴かせていただくことに。
玄関の落ち着いた空間に、彼女の奏でる温かな音色が静かに広がっていきます。そのやわらかな響きを聴いていると、心が洗われるようで、とても癒やされるひとときでした。彼女の演奏に心からの拍手を送りました。
この場所で、素晴らしいピアノと演奏に出会えたことに感謝しつつ、その場をあとにしました。
【今日の飯テロ】
今回は筆者のお気に入りの、大井町の老舗トンカツ店へ。ここのロースカツはとても柔らかく、噛むほどにほのかな甘みが広がります。
この店の魅力は、何より温かい雰囲気にあります。いつもカウンターには地元の常連さんが集まり、店員さんたちと楽しそうに談笑していて、その光景を眺めていると思わず、「おお、いい町だな」と心の中で呟いてしまいます。