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  3. 【メンバー日記】スポーツ以外の秋


先日、学生時代の友人の結婚式に参加した。

新婦とは大学の同級生で、当時は二人で旅行に行くくらいには仲が良かったが、卒業してからは年に1回くらいしか会わなくなり、結婚相手についてもぼんやりとしか聞いていなかった。

披露宴で席につくと、新郎新婦のプロフィールが紙に印刷されたものが用意されている。一体どんな人と結婚したんだろう、と新郎のプロフィールを眺めていたところ、ある項目で目が止まった。

そこには「苦手な食べ物:カレーライス」と書いてあったのだ。

新郎の太郎さん(仮名)、一見するとバチェラージャパンみたいな感じだけど、色々と苦労があったんだろうな、と彼のこれまでの人生に勝手に思いを馳せた。

通っていた幼稚園で、友達に「カレー嫌いなの?それ変だよ!」と言われ、落ち込む太郎さん。

小学校の給食で、みんながカレーのおかわりをめぐってジャンケンをする中、泣きながら食べる太郎さん…

高校時代くらいまでの太郎さんの苦労について想像したところで、いつの間にか新婦の手紙の朗読がはじまり、披露宴はお開きとなった。

実際は、太郎さんはカレーライス絡みで苦しんだことはないかもしれない。それなのに、なぜ太郎さんに感情移入してしまったかというと、私も彼と同じく、ほとんどの人が好きなことが苦手だからだ。私は運動神経が壊滅的に悪く、それが影響してスポーツ観戦にもあまり興味がもてない。

小さい頃からリレーの選手、バスケではダンクシュートで観客を湧かせ、サッカーではハットトリックをきめる・・・そんな運動神経抜群の皆様には理解できないかもしれないが、生まれてこの方、私はスポーツをして楽しいと感じたことはない。

小学校に入る頃には自分はスポーツができないということに気がついていたと思う。
私は引っ込み思案で自分の意見を言えない子供だったが、ドッジボールの外野を決めるときだけは、積極的に手を上げて自分をアピールしていたことを覚えている。

特に幼い頃は、運動ができるかどうかは重要なことだった。小学校低学年では一番足が速い男子がモテるし、二重飛びが得意で逆上がりが上手い女子が教室を仕切る。幼心に、これからの人生中々ハードモードになりそうだ、と予感していた。

運動ができなくて自分が恥をかくのは仕方ないが、自分のせいでチームに迷惑をかけるのが一番つらい。

体育の授業はもちろん嫌いで消滅すればいいと思っていたが、特に最悪なのはバレーボールの時間だった。バスケやサッカーはボールから極力離れ、みんなの邪魔にならないように細心の注意を払えばいいが、バレーボールはそれができないからだ。

飛んできたボールをうまく返せなくても、クラスのみんなは怒ったりはしない。
クラスの中心だった明るいギャル(いいヤツ)は「ドンマイ!」と声をかけてくれたし、運動部で活躍している美人も「次がんばろ!」と言ってくれた。みんな優しかった。優しい人たちに迷惑をかけていると思うと、鉛を飲んだような気分になった。

そんな様子で体育の授業はひたすら苦悶の時間だったのだが、止まない雨はない、明けない夜はない、という言葉の通り、つらい時間にも終わりがやってくる。高校を卒業するのと同時に体育の授業にもお別れすることができ、一気にQOLが上昇した。体育の授業がなくなり、それ以前に比べて性格も少し明るくなった。

今でも運動は苦手で、たまにスポーツイベントがあると気が重く、スポーツ万能な人達が羨ましい。ただ、スポーツが苦手だったからこそ、自分が苦手なことを優しくフォローしてもらえるのがいかにありがたいかを知ることができたし、何かを好きじゃない人側の気持ちを想像できるようになったとは思う。

今度、職場で懇親のためのスポーツ大会があるらしい。どうやってサボるか、週明けまでに作戦を練りたいと思う。

by t.n
ピアノ歴:小1~小4、中学~大学2年まで 昨年レッスン再開
好きな作曲家:ショパン、ラフマニノフ、ラヴェル(気分によって変わる)
その他の趣味:旅行と読書、映画鑑賞。仕方なくジムに通っているが、筋肉痛は3日続く

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