どうも、T.N.です。今日も元気にストリートピアノ日記を書いていきたいと思います。
3月27日(水)夕方、大阪出張で仕事を終えた筆者。大阪の新しいストリートピアノを開拓しようとネットで調べていると、まだ訪れたことのない場所を発見しました。
「え、荒本にストピがあったの?あら!もっと早く知りたかったわ!」
ということで、まず向かったのは近鉄けいはんな線の荒本駅。駅を出るとすぐに、ひときわ高くそびえる建物があります。ここが東大阪市役所です。エレベーターで最上階21階へと向かいます。
21階は展望フロアになっていて、窓からは東西南北の景色が見渡せました。東には生駒山地が迫り、西には大阪市街地が広がっています。ちょうど夕陽が沈み始めている頃。静かな空間で景色を眺めていると、自然と気持ちがゆるみ、なんとも贅沢な時間でした。
フロアの一角には、カラフルなイラストで彩られたアップライトピアノが置かれていました。こちらは、もともと地域の保育所で使われていたピアノだったのですが、地元の大学生たちの手によってペイントされ、この場所でストリートピアノとして開放されることになったのだそうです。
さっそく弾かせていただきました。今回はベートーヴェンのソナタ31番1楽章を演奏。ピアノは消音機能がオンになっており、優しい音が展望フロアに静かに広がっていきます。夕暮れどきの街を眼下に見ながらひとり演奏に没頭する時間は、とても豊かなものでした。
荒本をあとにし、今度は路線バスに乗って隣の大東市へ向かいます。次の目的地はJR学研都市線・住道駅。
バスを降りると、駅前広場にはたくさんの屋台が並び、多くの人々が集い、食べたり飲んだりしながら談笑していました。この日は「大東ズンチャッチャ夜市」の開催日。毎月の最終水曜日に定期的に続いているイベントだそうです。
賑やかな雰囲気を楽しみながら屋台を巡ります。筆者は、ローストビーフ丼をいただきました。お祭りムードの中、屋外でいただく食事はやはり格別でした。
会場には、ステージが設けられていました。ちょうど年配の男性がギターの弾き語りをしているところで、澄んだ歌声が夕暮れの広場に伸びていきます。
気づけば多くの人が足を止め、皆その哀愁漂う歌にじっと耳を傾けていました。
曲が終わると、大きな拍手がステージを包みました。
すると司会の方がマイクを取り、
「このあとはストリートピアノの時間です。弾きたい方は並んでお待ちください!」
とアナウンス。
その言葉を聞くや否や、若い男性グループがずらっと電子ピアノのそばの椅子に腰掛けました。筆者もその後ろに続いて並ばせていただきました。
予想以上の行列に司会の方も少し驚いたようで、
「たくさん並んでいるので、ひとり2分以内でお願いしますね!」
と呼びかけていました。
筆者の前に並んだ彼らは、それぞれボカロ曲やゲーム音楽を次々と披露していきます。スピーカーから流れる迫力あるサウンドが駅前広場に響き渡ります。住道駅前の広場は、一気に熱気と興奮に包まれていきました。
いよいよ筆者の番。今回は、ショパンの黒鍵のエチュードを演奏。目の前には見渡す限りの観客。多くの視線が集まっていて緊張もありましたが、その空気がむしろ背中を押してくれるように思いました。短いながらも、この賑やかなお祭りの場で音を届けられたのは、とても嬉しい経験でした。
演奏後、司会の方と少しお話させていただきました。筆者が神奈川から出張で来たと伝えると、
「そんな遠くから!ありがとうございます!」
「いつも弾きに来ている皆さんはボカロとかが多いんですけど、やっぱりクラシックもいいですね。今日は聴けて良かったです。また出張のときは来てくださいね。」
と声を掛けてくださり、その温かいお言葉にこちらも胸が温かくなりました。
そして最後には、ズンチャッチャ夜市の公式ソングに合わせてみんなで踊るという企画があり、曲に合わせて来場者全員で掛け声を発し、手拍子をしながら盛り上がりました。
地域の輪の中に自然と溶け込んでいく感覚。初めて訪れた場所なのに、なんだか仲間の一員になれたような気がして嬉しかったです。またぜひ来たい、心からそう思わせてくれるあたたかな夜でした。




