少し空いてしまいましたが考察。。
核心部分なので長くなりますが、ご容赦いただければ。
ここまでは椅子の高さって実はプロでもいろいろ、というお話と、
高い・中間・低いそれぞれの代表選手(?)を挙げ、
それぞれの高さにおけるメリット、デメリットをざっくり書きました。
そして、メリット・デメリットについて掘り下げていきます。
・・・と締めくくっていましたが・・・
いわば「低い椅子派」である私が、他の高さについて書くのも、
おこがましいと言いますか、やはり餅は餅屋。
低い椅子について書く上で、
比較対象として他の高さをチラ見せするにとどめます。
願わくば、この一連の日記に対する議論が起きて、
非自己の世界にも耳目を傾ける人が増えますように。。
ではまず、私が論拠としている基本条件を挙げます。
①脱力
もはや使い古された言葉ではありますが。
速く動かしたい、もっと大きな音を出したいと思うほどに力んで、
速く動けない、響きの悪い音しか出ない、故障する。
そして何より、疲れて楽しくない!
疲れ・動きの束縛・響かない痛い音。
力んだため、加速方向だけでなくブレーキ方向の筋肉も使用してしまうためと、
ピアノの構造上、打弦後に力を加えても音の変化はないのに
精神ありきで鍵盤を底まで押し込み続けてしまった結果だと思います。
②アーチ構造
A.鍵盤に最も力を加えるには?
打弦まで最短距離の動きをするなら?
答えは鍵盤に垂直に打鍵する、でしょう。
B.では、もし背骨がまっすぐだった時、歩いたら頭はどうなるでしょう?
衝撃が頭に直接通じて、悪酔い・・・で済めばよいのですが。
膝を曲げずに走るだけでも、この衝撃の片鱗は感じられると思います。
C.鍵盤を押し下げるには、どれくらいの力が必要でしょう?
押す場所にもよりますが、50g前後という話です。
何が言いたいのかというと。
α:力を伝えるのは大事ですが、Cという事実があるうえで、
Aという方法でなければ鍵盤を十分に動かせないのでしょうか。
β:衝撃が分散されずに伝わった時のダメージ、どこが引き受けるんでしょう。
という2点です。
アレクサンダーテクニークなどの本にも書かれていますが、
指の各関節から手首まで、肘から先の全関節でアーチ構造を作って、
衝撃は分散させつつ、力を伝えられるようなフォームにしましょう、
という意見を採用しています。。
ではまず、指以外が固定された場合の、可動域を見てみます。
(素早いパッセージで、毎回手首や肘、肩を上下させる打鍵をする人はいないと思うので)
椅子が低いポジションで指を伸ばした場合、指は最も鍵盤から離れます。
(手根骨から中手骨までの部分が上を向いているため)
同様に指を曲げていくと、指が上下方向に動く範囲は最も大きいことが分かると思います。
この可動域の広さの中で、指をどれだけ曲げるか等バリエーションをつけて、
打鍵の強弱や質を調整します。
次に打鍵ではなく、離鍵方向の動き。
高いポジションの方が、筋が強く浮き出す(より大きな力を必要としている)と思います。
このため、ノーマル状態で指が上がりやすい形をとりたい時に、
低いポジションは有効だと思います。。
また、広い音域をとる場合。
おそらく皆さん、一番広げて何度届くか試すと、
手首の位置は鍵盤と同じくらいになると思います。
この時ひじが鍵盤より下のポジションだと、
アーチ構造を保った状態で取ることが可能です。
最後にアーチ構造を保った状態で、
鍵盤に対して指の接地面を変更できる範囲。
椅子が低いパターンが、最も指の腹~指先までの選択肢が広いと思います。
これを用いて、指の曲げ方で音質の調整をします。
以上、ここまでがメリットである、
「脱力を重視しつつ、アーチを保った状態で、
手首から先だけの動きから得られる選択肢が最も広いですよ」
という主張でした。
ではデメリットは?
既出ですが、楽譜から目が遠い。
目をつぶって弾ける人はよく聞きますが、
目を閉じて初見が出来る人、お会いしたことがありません。。
まあ、視力の弱さからくる問題点ですが・・・。
同様に目線が低い(鍵盤と目の位置が近い)ので、
鍵盤の端から端まで目線を送るときの角度が広い。
また、鍵盤の両端に手を置く時。
高いポジションだと大して腕を上げなくても届きますが、
低い場合・・・遠い・・・
そして位置エネルギーは最も低いので、
打鍵方向の筋力は最も必要となるでしょう。
・・・あと・・・見た目の奇抜さですかね・・・;;
(ついでに、そこからくるプレッシャーもあります)
今回は一般論におけるメリット・デメリットまでで。。