どうも、T.N.です。今日も元気にストリートピアノ日記を書いていきたいと思います。
11月2日(日)、今回訪れたのは西武池袋線の江古田駅です。
江古田といえば、筆者が中高6年間通い続けた街。卒業後も時々母校には顔を出していましたが、こうして江古田の街を散歩するのは久しぶりでした。
商店街の顔ぶれは在学当時から10年以上の時を経て変わってきていますが、放課後に寄っていた本屋さんや、吹奏楽部の休日練習のお昼にみんなで食べに行った定食屋さんなど、当時のまま残っているお店も多く、懐かしい気持ちが込み上げてきます。
とにかくピアノに吹奏楽に打ち込みながら過ごした青春の日々。歩きながら、そんな当時の気持ちが思い出されるようでした。
駅南口の広場には、イベント用のテントが並んでいました。
この日は「江古田のまちの芸術祭」の開催日。
案内所となっているテントでイベントマップをいただくと、絵画・写真・音楽など、さまざまなアート企画が街中の店舗やギャラリーで100以上展開されているとのこと。
「芸術の街」江古田らしいイベントの盛大さに思わず感心しました。
広場には電子ピアノも置かれていて、司会の方がマイクを手に「挑戦者いますか〜?」と周囲を見渡しながら呼びかけているところでした。せっかくなので、弾かせていただくことにしました。
今回演奏したのは、ショパンの舟歌。最初の一音を鳴らすと、スピーカー越しの力強い響きが周囲に広がっていきます。
舟歌は、いまでも私の大切なレパートリーのひとつですが、実はこの曲こそ、江古田で過ごした中高時代と切っても切り離せない存在です。
初めて挑戦したのは中学3年生のとき。
当時のレッスンでは、音色の作り込み、繊細なペダリング、フレーズ全体の流れの組み立て方まで、本当に細かく丁寧に見ていただきました。
しかし、いざ自分の手で理想の音を出そうとすると、そこが難しい。
どれだけ練習しても「もっとできるはずだ」と思う箇所が出てきて、毎日のように試行錯誤していました。
昼休みには音楽室に向かい、鍵盤に向き合う。部活後も、教室の明かりが消えそうな時間まで残って「ああでもない、こうでもない」と弾いていたのをよく覚えています。
大変ではありましたが、鍵盤に夢中で向かっていられる時間こそが何よりの喜びだったように思います。
部活後にそばで聴いていた吹奏楽部の仲間たちからは、「ホントそれ好きだよな(笑)」と言われていた記憶があります。
そんな思い出を抱えながら江古田の駅前で弾いていると、目の前の景色に懐かしい当時の情景が重なるようで、胸の奥がじんわり熱くなる感覚がありました。
最後の音を鳴らすと、スピーカーからの響きがロータリーいっぱいに広がり、空気がほんのわずかに震えるのを感じました。心の中でそっと呟きました。
「これが、江古田に響くエコーだ」
一瞬の静寂のあと、ピアノの周りに集まっていた多くの方々から拍手が送られました。
その後も「挑戦者いますか〜?」の呼びかけに応じるように次々と演奏者が現れ、一本指で鍵盤を触って嬉しそうにしている子ども、ショパンの名曲を披露するご年配の女性、一人ひとりが自由に音を奏で、そして多くの人が足を止めて聴き入る。温かな空気が駅前に広がっていました。
しばらく演奏を聴かせていただいたあと、芸術祭の主催者の方と少しお話をしました。
「江古田は武蔵野音大があることもあって、ピアノを好きな方がとても多い。みんなの音楽の力で街が盛り上がっていったら嬉しいし、またピアノも設置したいと思っています」
と話してくださいました。
その言葉に強く共感しつつ、今回も江古田という思い出の地で素敵な体験ができたことに感謝しながら、その場をあとにしました。
また来年以降も、機会があればぜひ弾きに訪れたいと思います。
【今日の飯テロ】
江古田には美味しいラーメン店も数多く揃っているのですが、今回はその中の1軒を久しぶりに訪れました。
口当たりのまろやかな魚介系のスープを飲むと、「ああ、やっぱりこれだよな」と心の中で呟いてしまいました。
