「返却期限が過ぎています。速やかに返却をしてください」
またやってしまった。
何度見たかわからない、図書の本の返却遅延注意文である。
本の返却日もうすぐだよなぁと、野生の勘が知らせてくれてチェックしたら返却期限が前日の午後11時59分。
時計を見たら午前0時15分、あと少し早く気づいていれば延長申請ができたのに。
延滞している本が家にあるのも気持ちが悪いので真夜中に返却ポストに本を返しに行く。
着替えるのも面倒なので会で作ったTシャツにジャージを羽織って外に出るが、予想外の冷気に身震いがした。
冬将軍の軍靴の音がすぐそこまで迫っているかのようだった。
私の家から最も近い図書館は10冊まで本が借りられる。貸し出し期間は2週間で次の予約がなければもう2週間延長ができる。
貧乏人にとって貴重なインフラというかライフラインである。
10冊フルで借りた方が得やん!!!と刹那的かつ短絡的な発想で、己の読書スピードも顧みずにいつも10冊フルで借りる。
当然のことながら2週間で読み終わるはずもなく、読了したものから返却し読み終わらなかったものはためらいなく延長するという自転車操業を繰り返すのである。
借りる本は大体決まっていて、5冊は歴史の本、3冊は仕事で使えそうな本、2冊は小説とか新書、という割合でそこそこきっちり決めている。
最近はそこに新たなジャンルの本が加わった。音楽の本である。
この会に入って改めて痛感したのだが、私は絶望的に作曲家と作曲作品の知識が乏しい。
作曲家の名前はある程度分かっても誰がどんな曲を作ったのか全く分かってない。
なので少しはそのあたりの知識が欲しいなぁと思い、音楽関連の本を借りるようになった。
音楽本の書架はこれまで全く立ち入らなかったので背表紙を見るだけで新鮮な気持ちになる。面白そうな本がたくさんある。
だが現実は非情で、いろいろ物色してパラパラめくってみてもカタカナの人名と「ピアノ協奏曲第〇〇番」のような似たような名前がたくさんあって全く頭に入ってこない。
いっそ漫画から入ってみようかと探しているとある一冊の本が目についた。
その名も「クラシック音楽鑑賞辞典」
文庫本の概念をひっくり返すような分厚さである。京極夏彦の本みたいだ。
しかも自立する。「クララが立った!」と似たような感動を味わった。
この本は楽派ごとに各作曲家とその作品の解説が掲載されている。しかし案の定カタカナと似たような名前の羅列ですぐ眠くなりそうな内容だ。ドラえも○のひみつ道具、暗記パ○が何斤あれば全部覚えられるのだろうか。
「まぁどうせ読みこなせないよなぁ」と棚に戻そうとしたところ、会でのとある会話を思い出した。
「蜜蜂と遠雷に出てくる音楽を実際に聴きながらこの本を読むとすごく楽しいし臨場感がある。」という会話だ。
蜜蜂と遠雷は恩田陸氏の作品で、4人のピアニストを描いた小説である。
そうか、実際に音楽を聴きながらこういう本を読むとすんなり頭に入ってくるのではないか、そんな素人考えが頭に浮かんだ。
物は試しで借りて、家でYoutube先生に師事しながら読んでみたところ、確かにただ読むよりは頭に入ってくるし耳にも残る感じがした。
そういえば先日の発表会でも似たようなことがあった。
プログラムを作成する際に全く音楽の知識がなかったため、エクセル教授の乱数に頼って「えいや!!」っという感じで結構適当に順番を決めていたのだが、とあるメンバーから「軽く曲を聴いておくと順番とか雰囲気がイメージしやすい」という指摘を
いただいた。確かに知識が全くないなら実際に聴いてみるのが一番近道なのである。
そんなわけでこの本と私の共同生活が始まった。
おかげでこれまで大河のサントラやアニソンやアイドル曲等で占められていたyoutubeの「あなたへのおすすめ」欄にクラシック曲が多数流入するようになった。
何となく大人の階段を1歩登った気がしなくもない。
結局この本も返却期限までに読み終わらずAmazon大先生で買うことになるのだが、細く長く付き合っていきたいと思った。
ところで、冒頭冬将軍が近づいてきた、と書いたが、私は日本の四季の中で冬が一番嫌いである。
まず寒いのが苦手だ。学生時代は東北地方にいたが、金輪際東北には住むまいと固く決心するに至るくらいには冬が苦手になった。
外に出たくなくなるし冬眠したくなる。引きこもりが加速して心なしか読む本の冊数と図書館滞在時間が増える。
おまけにハロウィンが終わると一気にクリスマスシーズン、街は華やかなネオンやイルミネーションに彩られ、カップルがここぞとばかり闊歩しだす。
特段クリスマス等に縁がないわが身としては、街中の光があふれるほど自身の影がより一層どす黒く、闇深く感じられて何となく陰鬱な気分になるのだ。冬将軍など早く陣を払ってしまえ。
しかし、今年はこのPH会のクリスマスパーティーがある。
一人で過ごすよりは皆でワイワイ過ごす方が気も晴れるし、何より会のメンバーと話していると楽しいので今年の冬は例年より楽しくなりそうだと思っている。
時間もないので手短に言うね。
クリパ楽しみ。
https://pia-no.com/site/blog/21015/
(↑クリパ案内記事)
by R.O
ピアノ歴:小学生6年間、現在~
好きな作曲家:久石譲 ドビュッシー
その他の趣味:書道、読書、弓道、旅行、ゴジラ映画を見ること、好きな作家・研究者のサイン会講演会に行くこと、史跡ガイド
アルコールを摂取しないと日記が書けない体になりました。アル中まっしぐら。