PH会発表会まであと一か月を切りました。
練習ではちゃんと弾けるのに、本番では練習の1割も発揮できない件 について、一昨日会ったプロピアニストが興味深いことを言ってました。
「昔はずっと、家での成功体験を本番に持ち込もうとして本番に臨んでいたけど、うまくいったためしがないです。
ピアノも違うし環境もちがう本番で、家での練習通りにやろうとするからうまくいかないんだ って気づいて、それからは、家での練習はそれはそれとしてやる。でも本番ではすべてをリセットして、ゼロの状態から音楽を作ることにしています。」
自分を振り返ってみると、
「練習は本番のつもりで 本番は練習のつもりで」
と小・中学校の避難訓練とか部活とかで先生に教わってきたので、本番を練習通りに弾くために、必然的に練習で本番のつもりで弾くことになります。
本番で弾く予定のテンポで・・・本番で弾く予定の強弱やペダリングや抑揚で・・・という感じで。
練習を本番のつもりでずっと弾いていると、この時期にはほぼ曲が仕上がったような気分になります。
でも冷静に見るとべつに上手くなったわけでもなんでもなく、単に
自分の演奏が、「家のピアノに最適化されただけ」
と気づきます。
最適化されることは、演奏をガチガチに固めてしまうことでもあるので (しかも家のピアノでの最適化 というところがなんともバカバカしい)、本番でいざ違う環境の違うピアノになると
「あれ?家のピアノと鍵盤の跳ね返り具合が違う!音が返ってこない」
と焦ったり
「私はこのピアノではもうダメだ・・・帰りたい」
と弱気になったりして、ロクなことがなかったな と思いました。
では、家での練習の意味とは何なんでしょうか?
「本番のつもりで家で練習してはいけない」 となれば、家での練習の位置づけがガラッと変わってきます。
練習は練習。本番でもないし漫然とした予行演習でもない。
それこそ練習会に参加していろんなピアノ・衆人環視で弾いてみる というのがいいですが。
家のピアノは1つなので、1回1回を違う弾き方にしてみる とか。
「弾くたびに違う弾き方にしなさい。」 これはショパンが弟子に言っていたことらしいです。
案外弾き方のバリエーションは少なく、即席で変化をつけるのは難しいことがわかります。
あと、テンポを何段階にも変えてみる とか。
とにかく、本番でゼロの状態から音楽を作ることに備え、その曲における自分の対応力を上げていくことが練習なのかな と思うようになりました。
今年の発表会 第一弾は、9月9日(土)@保谷こもれびホール
どなたでも聴きにいらしてください。
by かと