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  3. 【メンバー日記】旅先で聴く音楽


日記書く人募集!という文言を見て何も考えずに手を挙げてしまったが、取り立ててピアノについて記事を書こうにもネタが思い浮かばない。
とはいえ振り上げた手を戻すわけにもいかないので趣味の旅行とか旅行先でよく聴く音楽とかについて書こうと思う。

 私は旅行が好きだ。特に京都がめちゃくちゃ好きである。前職の赴任地が愛知県であったため京都までの距離が近くなり休みのたびに訪れていた。たぶん2年弱で20回以上は確実に訪れている。(言うまでもないがお財布事情は常に業火の大車輪である)

なんでそんなに京都が好きなのと聞かれたら無難に「日本史が三度の飯より好きで寺社仏閣に行くのが三度の焼肉より好きだから。」と答えている。日本史好きにとって京都はやはり聖地である。

そんな私の京都旅行であるが昼間は基本的に寺社仏閣巡りや、私が壮絶に好きな作家、森見登美彦氏の作品に出てくるスポット巡りを行っている。俗にいう聖地巡礼である。(氏は京都を舞台にした作品を多く書いている)

 夜は何をしているのかというと、鴨川沿いをぶらぶら歩く。ルートは大体下鴨神社から四条河原町である。
その時聴いているのはほぼ100%倉木麻衣の楽曲である。
彼女の楽曲「Time after time~花舞う街で~」が狂おしいほど好きで、ピアノver,オーケストラver等アレンジされたものをまとめたフォルダが「鴨川専用音楽」として我がウォークマンに鎮座ましましている。
彼女の透き通った歌声と曲の旋律、それらに京都が魅せる四季折々の情景と鴨川沿いの料亭が彩る華やぎと艶やかさをまとった灯りが絶妙にマッチするのである。
これを聴きながらストロングゼロダブルレモン味を飲みつつ鴨川沿いを歩き(時折高瀬川の方に出て土佐藩邸跡や好きな偉人、大村益次郎遭難現場を見ながら)日本の歴史や偉人たちに思いを馳せるのである。
仕事のお昼時間にこの「鴨川専用音楽」を聞けば眼前に鴨川の流れが瞼に浮かぶ。超リラックスミュージックである。

このような散策もとい放浪で締めるのが京都旅行の定番となっている。それなりの奇行だと自覚はしているが今まで職質は受けたことがないので今後も京都に行ったら実施していきたい。

 もう一つ私が好んで行く場所、それは海である。
砂浜でも、漁港でも、貿易港でも構わない。高校卒業まで海なし県に住んでいたからか、海の見える町や海が近い街に憧れがあるのだ。
海に行って何するの?とよく聞かれるが、これまた手にストロング(以下略)を片手にとぼとぼ歩き、ぼーっと海をを眺めたり休憩で潮風にあたりながら森見登美彦氏の著作を読んだりする。
その時聴く音楽は映画「千と千尋の神隠し」で使われた「6番目の駅」という楽曲と「いのちの名前」である。特に理由がなく独断と偏見で海というとこれらの曲が頭に浮かぶ。私が久石譲をこよなく好きであるという贔屓目も多少入っている気がする。

 ところで海に行くと思い出す文章がある。
日本文学研究者に渡辺憲司という人がいる。特に文学に興味はないがこの方、遊郭研究の第一人者でもあるため個人的に好きな研究者である。
2011年3月11日に東日本大震災が起きたとき氏は立教新座高校の校長だった。震災によりこの高校は卒業式を取りやめ、代わりに校長祝辞がHPに掲載されたが、その文章が当時ネットを中心に話題を集めた。(知らない、という方は「立教新座 渡辺憲司」とかでググってもらうと今でも読める)

長い文章であるがすごく好きな文章だ。これを読んで私の中での海の印象が何となく変わった。当時私も震災発生時に高校卒業だったため余計に心に強く残ったのかもしれない(余談だが我が母校は震災前に卒業式を終えていた)
ただ、文章を読んで抱いた海の印象と上述の楽曲の雰囲気が何となく合う気がして(本当に個人の印象であるが)海に行くとこの文章と二つの楽曲が思い起こされて無性に聴きたくなるのである。
(いまだに高校卒業時の文章を読んでいるのか、いい加減社会人モードになれとチコちゃんにも叱られそうだが一種のアンチエイジングだと思っている。)

 電車の車窓から海を眺めるのも大好きである。
私は電車旅行が好きで大学生のころから青春18きっぷを握りしめて国内旅行に行く。一日の乗車時間が10時間超えということが多いのでできるだけ精神的ダメージを軽微に抑えるべく海が見える路線を選ぶようにしている。
車窓から海を眺めるときに聴くのがYOU TUBEでまらしぃさんが弾く「ウミユリ海底譚」という曲である。原曲は別にあるのだがピアノverがThe 海!という感じがしてすごく明るくワクワクした気持ちになれる。

さて、ここまでぐだぐだと旅行で聴く音楽について駄文を書いてきたが、日記を書いている途中で一つピアノについてのエピソードを思い出した。

小学生時代の話だ。私の小学校でも他校と同様毎年夏休みになると宿題が出た。計画性皆無なガキであった私は宿題を後へ後へと回す悪癖があり、夏休みラスト1週間であっても「一行日記(手つかず)」,「読書感想文(本読んでない)」,「アイデア貯金箱作成(入れるお金がない)」,「理科研究(謎)」という極悪非道の四天王がごっそり我が優雅なる夏休みを阻むべく君臨しているという有様であった。

それを受けて始まるのが我が両親による宿題片付け指導である。筆舌に尽くしがたい壮絶な指導を受け、直江兼続の長谷堂合戦をも凌駕する壮絶な宿題しんがり戦が展開される。
 そんな私の実家の隣には同年代の女の子とそのご家族が住んでいた。その女の子はとてもピアノが上手かつ練習熱心でよく窓から風に乗ってその子が奏でる音色がそよいできていた。
特にドビュッシーの「アラベスク 第1番」が好きであったらしく、記憶にある限り小学生時代はずっと弾いていた。

ここまでだったら心地よい音色に助けられてさぞ順調に宿題を終わらせることができたのだろうと思われるかもしれないが、私の場合、逆にこの曲を聴くと夏休みのつらい宿題撤退戦がよみがえるという不利益を被ることになった。
刷り込みとは怖いもので毎年宿題をため込みヒィヒィ言っているさなかにこの曲を聴き続けるとたとえ名曲といえども嫌な思い出しか残らぬものなのである。

おかげで私はしばらくの間この"ドビュッシーの呪縛"に苦しめられこの音楽を聴くと妙にソワソワした感覚に襲われることになったのである。(計画的に宿題を終わらせておけばよかっただけと自分が一番自覚している)

さて、このPH会に入ってから、いろんな音楽を聴くようになった。それまでポップスか大河ドラマのサントラくらいしか聞くことのなかった我が耳に多くのクラシック音楽が鴨川の流れのごとく流入してくるようになった。
その中にはこのドビュッシーのアラベスクも含まれているが、会での楽しい思い出が小学生時代のつらい思い出を上書き保存していくのを参加するたびに感じている。感謝感激雨嵐である。

これからもこの会で楽しい思い出をたくさん作って、いつか自分がドビュッシーのアラベスク第1番を弾く側になりたいと思う。

余談
京都と海に合うクラシック音楽を絶賛募集中です。この音楽いいよ!!ってものがあればぜひ教えてください。
旅行で聴く音楽のバリエーションを増やしていきたいので。

by R.O

ピアノ歴:小学生6年間、現在~
好きな作曲家:久石譲 最近ドビュッシー
その他の趣味:書道、読書、弓道、旅行、ゴジラ映画を見ること、好きな作家・研究者のサイン会講演会に行くこと、史跡ガイド

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