昨日、旧東京音楽学校奏楽堂でのニューイヤーコンサートが無事(たぶん)終了しました。
今回は初めて演奏会の実行委員長をやらせていただくことになり、11月から寝ても覚めても奏楽堂のことを考えていました。
当日はポスター貼るのにもおろおろ、思いがけず通りすがりの一般の方に来場いただきおろおろ、想定以上の来場者にプログラムの残部がなくなりおろおろ…と会場内をうろつくことしかしない役立たずの実行委員長でしたが、すべてスタッフの皆さんが臨機応変に対応し、うまいことおさめてくれました。
今回はラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』を弾きました。私がこの曲の存在を知ったのは中学校1年生の時です。友達から借りて読んだ本の中でこの曲が重要な役割を担っていて、実際にどんな曲か知るよりも前に曲名に興味を持ちました。
「音楽室でラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』を弾いていると、ドアが乱暴に開いて、背の高い男子生徒が入ってきた。」
この印象的な書き出しで始まる三田誠広氏の『いちご同盟』は、漫画『四月は君の嘘』の中にも出てくる小説で、読んだことがある方も多いと思います。
以下、ネタバレがあるのでこれから読む人は注意!!
今回『亡き王女のためのパヴァーヌ』を弾くにあたり、この曲を知るきっかけとなったこの本を買って改めて読んでみました。
初めて読んだときは、主人公たちの言動があまりにも大人びていることに違和感をおぼえて「こんな中学生いないだろ」とモヤモヤしながら、よくわからないところが多い話だと思った気がします。
何よりも、私は若くて綺麗な女の子が病気で死ぬタイプの話が好きではない(感動を強要されている気がする)ため、素直に読んでいなかったのでしょう。また、当時はまだ友人や家族などの身近な人を亡くした経験がなく、ピンとこなかったというのもあると思います。
中学生の頃は主人公の少年に感情移入しながら読んでいましたが、今回は少年の学校の先生や母親、父親の目線で読むようになっていました。
改めて読むと、この小説は好きな女の子が死んじゃうだけの話ではもちろんなく、親子の関係、友人との関係、夢をあきらめて家族を支える人の話などが淡々と描かれていました。
同じ本でも歳を重ねてから読むと全く違う感想を抱くようになるもので、きっと10年後に読んだら新たな発見があるのでしょう。
ちなみにこの日記のタイトルは『いちご同盟』に出てくるセリフです。この場面の登場人物の会話は、ピアノを弾く人にはきっと刺さると思います。
さて、演奏にかんしてですが、今回は「すべてのプログラムが滞りなく進んでハプニングなく終わってほしい」という気持ちでいっぱいで、正直自分の出番は二の次でした。
とは言っても、最後の最後で大失敗してコンサート全体の雰囲気をぶち壊すわけにはいかないので、結局はいつも通り、ステージ上で震えながら弾くことになりました。
緊張していて全然自分の音を聴けなかったのですが、最後の音を間違えなかったのでよしとします。志が低くて申し訳ありません。
来月の演奏会に出演するみなさんの演奏を楽しみにしながら、秋の演奏会の曲を何にするか考え始めたいと思います。
by t.n
ピアノ歴:小1~小4、中学~大学2年まで 昨年レッスン再開
好きな作曲家:ショパン、ラフマニノフ、アラン・メンケン(気分によって変わる)
その他の趣味:読書、旅行、映画鑑賞(2020年の目標はスターウォーズを全作観ること!)