どうも、T.N.です。今日も元気にストリートピアノ日記を書いていきたいと思います。
※今回の日記は、「岐阜・愛知ストピ巡り編」の続編です。
名古屋での素敵な出会いと余韻を胸に、次の目的地へと足を伸ばすことにしました。向かったのはJRでおよそ30分の岡崎駅です。
改札を出ると、通路の端の壁際に1台のアップライトピアノが設置されていました。その表面には一面に葵の御紋が描かれていて、異様な存在感を放っています。ご存じの通り、岡崎は徳川家康公の生誕地。この葵の御紋も、きっとそうした土地の誇りと結びついたデザインなのでしょう。ピアノという西洋の楽器に、日本の歴史ある城下町の記憶が重なるような、不思議な空気を感じました。
早速、椅子に腰かけてピアノを弾こうとしたそのとき、ふいに誰かがそっと肩に触れてきました。振り返ると、そこには外国人男性が立っていて、少したどたどしい日本語でこう声をかけてきました。
「ワタシ、オペラ スキナンデス。カルメン、ヒケマスカ?」
突然のリクエストに少し戸惑いつつも、彼の真剣なまなざしに心を動かされました。せっかくなら、その思いになんとか応えたい。ピアノでカルメンを弾くのはこれが初めてでしたが、挑戦してみることにしました。
今回演奏したのは、「ハバネラ」と「第1幕への前奏曲」の2曲。たどたどしい演奏ではありましたが、ふと横目で見ると、彼がテンポに合わせて体を小さく揺らしながら、楽しそうに聴いてくれている姿が見えました。その様子に背中を押されるような気持ちで、「最後まで弾ききろう」と心を奮い立たせました。
ピアノ自体は、鍵盤のタッチが軽く、反応がとても良い印象。さらにこの場所は、意外なほど音の通りが良く、特に低音が力強く響いてくれて、のびのびと演奏することができました。
演奏を終えると、彼はぱっと顔を明るくして、拍手を送ってくれました。
「アリガトウゴザイマス!」と、嬉しそうに微笑んでくれたその表情がとても印象的でした。
音楽に国境はない、とよく言われますが、こうして拙い演奏でも気持ちが伝わり、誰かの喜びにつながる瞬間に立ち会えると、その言葉の意味を改めて実感します。
この日は、岡崎に来られて本当に良かったなと思えました。
家紋のついたピアノのもと、素敵なひとときを過ごしたい方は、岡崎にカモン!
【今日の飯テロ】
この日の夕食は、味噌煮込みうどんをいただきました。使われているのは、岡崎名物の八丁味噌。ひと口すすると、ほんのりとした苦みの奥に、深いコクと旨味が広がり、どこか落ち着く味わいでした。
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