どうも、T.N.です。今日も元気にストリートピアノ日記を書いていきたいと思います。
※今回の日記は、「岐阜・愛知ストピ巡り編」の続編です。
3月23日(日)、今回の旅の3日目です。ストリートピアノを巡る旅も、この日が最終日となりました。
前日の夜は、岡崎での演奏と出会いの余韻を胸に、三河安城で一泊。気持ちの昂ぶりからか、この日は朝早く目が覚めました。旅の最後の日を悔いなく過ごしたくて、ホテルを早めにチェックアウトし、再び名古屋方面へ向かう電車に乗り込みます。
ひとまず金山駅で下車し、駅近くの喫茶店でモーニングをいただきながら、この日の作戦を考えることにしました。まず気になったのが、中部国際空港(セントレア)にあるというストリートピアノ。多くの人が行き交う、開放的な空間にグランドピアノが置かれているというのです。
早速、名鉄特急に乗ってセントレアを目指します。金山からおよそ25分、海を越えて空港に到着しました。ターミナルビルに入り、4階へと向かいます。すると、どこからかピアノとオーケストラの壮大な響きが聴こえてきました。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。その力強い冒頭の旋律が空間いっぱいに広がっていて、思わず足が止まりました。
音を辿って進んでいくと、店舗に囲まれたオープンスペースで、生演奏が行われていました。どうやらこの日は、セントレア開港20周年を記念したコンサートが開かれる日で、そのリハーサル中だったようです。お目当てのストリートピアノはイベント準備のため使用できないとのことでした。
ステージの周りにはすでに人だかりができていて、皆じっとその演奏に聴き入っていました。空間に響き渡る生演奏の迫力に心をぐっと掴まれました。
なかでもピアニストの手の動きには目を奪われました。自在に走る指先、繊細でありながら情熱的な音色に、ただただ圧倒されました。
気がつけば演奏は第3楽章へ。嵐のような展開の先にクライマックスが訪れます。指揮者が棒を下ろすと、会場は大きな拍手に包まれました。
演奏後、MCの方がピアノについての説明をされていました。あのピアノは、世界に1台しかない特注のもので、天板の裏には金箔が丁寧に施されているのだとか。その煌びやかな姿は、まさに芸術品のようでした。(※普段こちらにに設置されているストリートピアノは、また別の楽器です。)
ピアノを弾くことは叶いませんでしたが、図らずとも素晴らしい生演奏に出会えたこと、そしてそんな貴重なピアノを間近に見ることができたことは、思いがけない幸運でした。
感動に満たされつつ、再び名鉄線で名古屋方面へ引き返します。名古屋市内を通り抜け、さらに北上して向かったのは、江南市にある布袋駅。駅前には地域交流施設「トコトコラボ」がありました。
真新しい建物の中に入ると、キッズスペースとカフェが併設された明るい空間が広がっており、その一角に1台のグランドピアノが静かに佇んでいました。日曜日のお昼どき。小さな子どもたちが元気に遊ぶ声を聞きながら、さっそくピアノを弾かせていただくことにしました。
この日選んだのは、ベートーヴェンのピアノソナタ31番の1楽章。ピアノはまだそれほど弾き込まれておらず、新しい楽器ならではの柔らかく優しい響きがありました。その音色を味わいながら、丁寧に演奏しました。
演奏を終えると、一人の中学生くらいの女の子が声をかけてくれました。
「今の曲、すごくいい曲だなって思ったんですけど、曲名教えてもらえますか?」
曲名を伝えると、彼女はメモ帳を取り出して曲名を書き留めて、「ベートーヴェンにこんな曲があったんですね、いつか弾いてみたいです」と話してくれました。
こちらからも聴いてくれたお礼を伝え、彼女がいつかベートーヴェン後期ソナタの沼に嵌ることを願いつつ、その場を後にしました。