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【メンバー日記】そうだ 京都、行こう。

11月24日(月)、午前1時。海老名サービスエリアを出た夜行バスは、東名高速をぐんぐんと速度を上げながら走っていく。車内の照明はすでに落とされ、横浜駅を出発したときに賑やかだった学生のグループも、今はすっかり眠りに落ちているようだった。あちこちから小さないびきが聞こえてくる。

ただ、筆者はというと、どうにも眠れない。
これから始まる旅の高揚感と、翌朝の動き方を頭の中で何度もシミュレーションしてしまい、目を閉じても意識だけが妙に冴えている。

ようやく少しうとうとしかけたころ、ふいに車内の灯りがついた。
「おはようございます」というアナウンス。時計は6時半。あっという間だったような、長かったような、不思議な感覚のまま身支度を整える。

バスを降りると、ひんやりとした晩秋の空気が頬を刺す。夜明けの空はすっきりと晴れ、その青さが今日一日の旅を祝福してくれているようだった。

ここは京都駅。筆者の旅はここから始まる。

駅構内のカフェでコーヒーと軽い朝食を取りつつ、この日のプランを改めて見直す。
急遽「紅葉を見にいこうよう」と思い立って決めた日帰り弾丸旅行。
行きたい場所は山ほどあり、一日でどこまで回れるのか、わくわくしながら考えを巡らせた。

午前7時半、嵯峨野線に乗り込む。
さすがに早朝で空いているかと思いきや、三連休、しかも紅葉シーズンの京都。車内はすでにインバウンドの観光客で賑わっていた。

電車に揺られること15分、嵯峨嵐山駅で下車。
駅前に降り立つと、朝の澄んだ空気が心地よく感じた。

渡月橋へ向かう道すがら、山の斜面はちょうど見頃を迎えた紅葉で鮮やかに染まっている。天龍寺の境内から聞こえてくるざわめきと、陽の光に照らされ揺れる赤や黄の葉。秋独特の静かな高揚感があった。

午前9時頃、嵐山の散歩を満喫したあと、嵯峨嵐山駅に隣接する「トロッコ嵯峨駅」へ戻った。
実はここには、機関車とピアノが展示されたミュージアムが併設されている。

館内へ入ると、右手に現れたのは圧倒的な存在感を放つベーゼンドルファーのコンサートグランドと、横に並ぶ3台の機関車。その迫力に思わず息を呑む。
左手にはハープシコードとパイプオルガンが展示され、空間全体がどこか荘厳な空気をまとっていた。

ベーゼンドルファー、ハープシコード、パイプオルガンはいずれも有料・事前予約で演奏できるとのこと。
これだけ特別な空間で貴重な楽器を弾けるとは、想像するだけでも胸が躍る。今回は叶わなかったが、いつか必ずリベンジしてみたい。

展示をゆっくりと鑑賞したあとは、いよいよピアノ演奏の時間だ。
ここでは100年前のアップライトピアノが置かれている。黄色く色づいた97個の象牙の鍵盤には、確かにその歴史が刻まれているように感じた。

まずはベートーヴェンのソナタ31番1楽章を弾かせていただいた。2年前、京都駅のストリートピアノでこの曲を弾いたとき、通りすがりの外国の方が3楽章を続けて弾き、思わぬメドレーになったあの出来事を思い出す。

音を出してみると、館内の壁に反射して、思った以上に迫力ある響きが返ってきた。ペダルを踏むと、ときどき濁りのような成分が混じるのだが、それもまたこの古い楽器が抱えてきた年月の重さを語っているようで、むしろ味わい深かった。

続けて、「そうだ 京都、行こう。」のCMにちなみ、「My Favorite Things」を弾いてみる。すると、数人の観光客の方々が館内へ入ってきて、「おお、ピアノ弾いてるよ!」と小さく声を漏らしながら足を止めてくれた。古いピアノの音色と、鉄道の展示が織り成す不思議な空気の中で弾くこの時間は、ストリートピアノ旅の中でもとびきり印象深いものだった。

演奏を満喫したあとは、この日一日、京都の紅葉スポットを巡った。どこへ行っても深い色づきで、まるで街全体が秋をまとうような一日だった。

夕方、京都駅に戻ると、心地よい疲れと満足感でいっぱいになった。日帰りとは思えぬほど濃い旅で、紅葉もピアノもたっぷり堪能できた一日であった。

ピアノサークル ピアノを弾きたい!

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