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【メンバー日記】【速報】 バオバブの子はバオバブだった


あけましておめでとうございます。
お正月・成人式も終わり、本格的に2021年が動き出しましたが皆さまいかがお過ごしでしょうか。

突然ですが・・・

「バオバブ」という木を知っていますか?
名前は多くの人が知っているけど実際に見たことのある人は少ないのではないでしょうか。
童話「星の王子さま」に出てくる巨木として人々の心に刻まれているこの不思議な木について紹介してみます。

●バオバブの概要

バオバブはアオイ科の樹木で、マダガスカルを中心としてアフリカ・オーストラリアに分布します。種子からは油がとれ、樹皮は屋根や壁、ロープの材料となり、葉と実は食用となるなどアフリカ諸国では様々に利用されています。

生育地はサバンナ、明瞭な雨季と乾季があり年間を通じて高温です。
その巨大でタンクのような幹に水を貯え、乾季を生き延びます。

写真のような実がたくさん枝からぶら下がるんですね。

昨年4月のこと、緊急事態宣言で自粛ムードが続く中ふとこの実を食べてみたくなりました。

●バオバブの栽培

早速ネットで種子を購入→ポットに植えてみました。
アダンソニア・マダガスカリエンシス(マダガスカル産)と
アダンソニア・ディギタータ(アフリカ産、通称アフリカバオバブ)の2種をチョイス。
サバンナの植物ですから日本では25℃~30℃に加温しないと発芽しません。

待つこと一週間、最初の1つが芽を出しました。

GW明け、外の気温が20℃に届くようになったので大きな鉢に植え替え、ベランダに出します。

後続の種子たちも次々と芽を出します。

温度管理が必要なうえにシイナ(中身が空っぽで発芽しない種)も多いとの事前情報を基にたくさん植えたものの、予想以上にたくさん芽が出てしまいました。
ぐんぐん生長するのは良いことなのですが、毎朝これらの鉢に水やりするのは大変ですし何にせよ置き場所がありません。
しかし原産地から遙か1万2千キロ離れたここでせっかく芽を出したのに捨てるのは・・・

よって一番先に芽を出した一株を残し、残りのは全て実家に引っ越しました。

8月末、高さ70センチ程に生長しています。
うだるような猛暑の中、バオバブは最もよく育ちます。
祖国のサバンナにはその強烈な日差しを遮るものは一切ありません。

後先考えずに植えたバオバブですが、日本語で検索しても出てくる情報が圧倒的に不足しています。
英語で検索すると次の文が目に入りました。

“Baobab trees typically take 25 years to produce their first fruit.”

桃栗3年柿8年、バオバブ25年!!!

最初の収穫は2045年ということになりますね。
その頃には高さ何メートルくらいになっているのでしょうか。
調べてみると樹齢25年のバオバブの高さは10メートル程のようです。

●バオバブの大きさ

「バオバブ」と検索すると出てくる写真の巨木たちはいったい樹齢何年くらいなのでしょうか。

答えは”数百年~千年以上”です。
樹齢推定2500年とされる個体もあります。

●バオバブは高齢社会

ところで最初に紹介した写真を始めとして、バオバブの風景は巨木ばかりで周りに若木が一切ありません。なぜでしょうか?

実はバオバブはさまざまな問題に直面し、存亡の危機に瀕しているのです。

①環境破壊
アフリカは人類が嘗て経験したことのない人口爆発の最中にあります。
サトウキビやサツマイモの大規模開発にとって、そこらに生えているバオバブの若木は邪魔になります。
また放牧のための野焼きに巨木は耐えられても若木は焼失してしまいます。

バオバブは1つの実から数百の種が採れるそうですが、人が食料にするために実を片っ端から収穫してしまえば株元に残る種子は無くなります。

②サイクロンの被害

樹皮は材料や家畜の飼料などに利用されますが、これも過剰に剥離するとサイクロンの強風でそこから折れ、倒れてしまいます。

サバンナにそびえ立つ雄大な姿、でも周りに若木は一本もない。
数百年後同じような巨木になるはずの次世代が居ない、とわかると何だか哀愁漂う景色に見えてきますね。

切られ、焼かれ、周りを耕され・・・と祖国では絶滅の危機に直面しながらも
遠く離れた我が家のベランダで葉を茂らせるバオバブの姿を見ているといろいろと考えさせられます。

季節は秋~冬となりバオバブは葉を落として休眠します。
祖国の乾季を経験させるため、春まで水は一滴も与えません。

室内に移動しました。
休眠状態では低温にも結構耐えるそうですがまだ1歳にもならない幼木ですので万全を期します。
見た目はただの枯れ枝のようになっていますが生きています。

実家のバオバブの様子を家族にレポートしてもらいました。

同じように枯れ枝になっていますが・・・
下の方が膨らんどる。
根を肥大させてここに乾季を生き抜くための水を貯めているのですね。

バオバブの子はバオバブだった。

何気なく目にした写真から、興味を持ち実際に栽培し・・・
1年前はバオバブのことはただ”アフリカに生えてる巨木”というだけの認識でしたが、調べていくうちに強く目に焼き付いたのは彼らが経験している苦難、環境破壊と気候変動でした。

来春、祖国に残る少ない仲間たちと一緒に元気な新芽を出してくることを願ってやみません。

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by M.O

ピアノ歴:24年
好きな作曲家:ショパン、リスト、ドビュッシー


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