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【メンバー日記】コンサート


わずか100日前には、誰がこのような状況を予想しただろうか。
果たして前の環境にもどれるのか、そんな不安もよぎる。失ってその大切さに初めて気づくことが多い。当たり前の日常は、当たり前ではなかったのだろう。

当会の活動もそうだが、あらゆる活動が制限されている。コンサートもその一つだ。
みなさんは、クラシックコンサートに足を運ぶことはあるだろうか。

僕は2年半前までクラシック音楽の存在をほとんど忘れていた。ピアノにもほとんど触っていなかった。だが、偶然ルーカス・ゲニューシャスのリサイタルチケットを譲り受け、上野に聴きに行ったのをきっかけに再びその魅力に引き込まれ、通うようになった。




もちろんCDで聴くのもよいのだが、コンサートホールで聴く音楽は格別だ。音が良いのはもちろん、今この瞬間に生まれた音を生で聴いていることの興奮がある。刹那的な一瞬一瞬の音を味わうことができる。派手な音を伴う音楽では、オケの迫力が体全体で味わえる。その逆も然り、静かな音の場面では、良い緊張感もある。チャイコフスキー『悲愴』第4楽章はドラの後どんどん音が小さくなるが、一番終いは、音一つ立ててはいけない息の詰まるような緊張感を感じた。

すべてコンサートは行って良かったのだが、特に印象深いオーケストラとピアニストをご紹介したい。

《ニューヨークフィル・ハーモニック》@サントリーホール(18年3月)
ユジャワンの弾くピアノとニューヨーク・フィルのコラボ。ブラームスの『ピアノ協奏曲第一番』の3楽章の疾走感が好きだった。『春の祭典』は30分があっという間であった。ニューヨークフィルの鬼気迫るパフォーマンスに加え、「一部・大地礼賛」と「二部・生贄の儀式」の間が全く間髪入れずに演奏され、異教のロシアの世界に引きずりこまれた。

CDの個人的おすすめは、ブラームス『ピアノ協奏曲1番』はエレーヌグリモー&ウィーンフィル、『春の祭典』はゲルギエフ&キーロフ歌劇場管弦楽団。すさまじいの一言に尽きる。

『ピアノ協奏曲 第一番』(ブラームス作曲】
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『春の祭典』(ストラヴィンスキー作曲)
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《アレクサンダー・ガヴリリュク》@紀尾井ホール(18年1月)
お次はピアニスト。「ストリングカッター兼メニーアンコーラー」の異名を持つ(今名付けた)ウクライナのパフォーマーである。
まず舞台袖に姿を見せてから、弾き始めるまで約3秒。完全に着席する前に腰の浮いた状態でラフマニノフのピアノソナタ2番を弾き始めた。登場シーンからして既にパフォーマーか。

http://vps.pia-no.com/etc/s/?x=104986820

また、30歳代のはずなのだが、登場した本人はプログラムやHPの写真より20歳は年上の別人に見えることにより、「本当に本人なのか?」という疑問を会場に呈してざわかつかせ、パフォーマーとして追加点である。

更にアンコールの3曲目で、高いEsの弦を切断。自ら弦をぐるぐるして引きちぎるというパフォーマンスは圧巻であった。引き抜いた弦を片手に、申し訳なさそうな顔をして会場にお辞儀をしたので、さすがにアンコールは終わりかと思いきや、まさかの続行。弦が切れた音(高いEs)が多用される革命のエチュードを含めて更に3曲弾き続けたことに度肝を抜かれた。

ピアノ演奏はもちろん素晴らしく、一気にファンになった。会場と一体になる好きなのピアニストの一人である。


《マウリツィオ・ポリーニ》@サントリーホール(18年10月)
言わずと知れたイタリアの巨匠。2回聴きに行った。あのポリーニを一目見たい!という思いと、シューマンのピアノソナタ3番(1935年初版)を聴きたくて行った。76歳という御年であり、歩く姿もぎこちない。エチュード集に「これ以上何をお望みですか」のラベルが貼られた往時の「完璧さ」はないが、それとはまた別の唸らせる表現に感動した。
そして、アンコールは3曲も弾いてくれたのだが、うち1曲はなんとショパンのスケルツォ3番という大曲を弾いてくれ、当時スケ3を日々CDで聴いていた僕は驚きと興奮を覚えた。

だが、この無理が祟ったのか、ポリーニ―の腕が疲れてしまい、その後の公演は腕の力を回復させるために延期になってしまった。

ポリーニ本人から「日本で3回のリサイタルを実現するという約束を果たすためには延期するしかないことをご理解いただければ幸い。長年続いてきた日本の皆様との関係は、私の宝。」という感動的なメッセージが発せられ、延期のあとコンサートは開催された。延期のあと聴きに行ったコンサートは、ドビュッシーの前奏曲集1巻に変更となり、ふだんあまりイメージのなかったポリーニ―の静かなドビュッシーを聴き、彼の奥深くにある深淵さを少しだけ除けた気がした。
もう今年78歳なのだが、またもう一度聴く機会を与えられれば幸いと思う。

ほかにも、エル=バシャ、ブレハッチやウクライナ国立歌劇場オケ、N響、反田恭平等、それぞれに感動的で、いつもコンサートに行くと、また必ずこの人の演奏を聴きに行きたいと思う。先述の弦切ピアニスト以外にも、ピアニスト本人が演奏前に私服で開場後の本番会場で練習している場面に出くわすこともあり、コンサートはいつも面白く感動的だ。

今はこのような状況であり、家でおうちコンサートを楽しむしかないのだが、こころ静かに音楽を聴く時間は貴重だと感じる。

みなさんには思い出のあるコンサートやおすすめのオケ&ピアニストはいるだろうか。
また是非コンサート会場に足を運び、ホールで生の音楽に触れる日を心待ちにしたい。

そして、今年の秋には自分たちの会のコンサートが無事開催できることを祈っている。



by k.n
ピアノ歴:小1~小4
好きな作曲家:ショパン、ラフマニノフ、ラヴェル、久石譲、稲葉浩志
その他の趣味:旅行、史跡巡り

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