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【メンバー日記】ラフマニノフ生誕150周年にちなんで(ピアノソナタ第2番編)


皆さんこんばんは。

ラフマニノフ生誕150周年にちなんで、ラフマニノフのピアノソナタ第2番について書いてみます。

ラフマニノフの中で好きな曲は何か?と聞かれたらピアノソナタ第2番はトップ5に入ります。この曲は初版、改訂版の双方とも、ものすごく長いわけでもなく、構成やフィナーレも分かりやすくて気に入っています。

この曲は初版(1913年)と改訂版(1931年)の2種類の正式な版が存在します。改訂版は、初版と大きく異なっており、初版の冗長と見なされた部分が削除されていたり、音の厚さが簡略化されていたりと、細部に渡って手を入れられています。
現在、一般的には改訂版である1931年版が演奏されることが多いようですね。改訂版については、アレクシス・ワイセンベルクの演奏がオススメなので、気になる方はぜひ聴いてみてください。(グラモフォンで出ているので見つかりやすいと思います。)

私は初版派なのか、改訂版派なのか?というのが、実は明確に決まっていません。改訂版では先述している通り、初版のかなりの部分を削除していたり書き直されているのですが、初版特有の魅力的な部分も削除されてしまっていたりします。改訂版は良い意味で言えば初版よりは構成がスッキリしていますし、悪い意味で言えば初版より物足りなさがあります。

この初版・改訂版をどちらが良いのかという問題を解決する案として、初版と改訂版の折衷案として生まれた「ホロヴィッツ版」という版が存在します。公式には出版されていませんが、ラフマニノフと親交の厚かったホロヴィッツがラフマニノフ本人の許可を得て、独自の版を作成したという経緯があります。

ものすごく簡単に言いますと、ホロヴィッツ版は初版と改訂版の良いとこ取りの版になります。この版は、初版の冗長な部分を思い切って省略している箇所があったり、改訂版で物足りないところに関しては初版を採用しています。余談ですが、この初版と改訂版を組み合わせるという手法は、ホロヴィッツだけでなく著名なピアニストも実践しています。(グリモー、ルガンスキーなど)

個人的な話をすると、実はこのソナタを知った経緯は十数年前にホロヴィッツの録音を聴いたためです。このホロヴィッツ版を聴いてから、ラフマニノフのピアノソナタ第2番を深く知る機会になりました。

来月のジョイコン(10/9開催)で、私にとって一番の耳馴染みの良い「ホロヴィッツ版」の第3楽章を演奏します。楽しみです。

(最後に、ホロヴィッツの演奏を貼っておきます。↓)
Horowitz plays Rachmaninoff piano sonata No.2 in b-flat minor, op.36 (1968)


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