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【連載 おゆみの音楽エッセイ8】 鍵盤楽器の歴史と発展その1


メンバー日記

写真1の説明 皆様は楽器というと、どのような楽器を想像したり連想したりしますか?楽器といっても弦楽器、管楽器、打楽器、鍵盤楽器などに分類致しますが、当サークル「ピアノを弾きたい」はピアノという楽器を演奏するサークルなので、ピアノとはどのような楽器なのか?ピアノの歴史はいつごろに生まれ、どのように発展したのか?ピアノの仲間はどのような楽器なのか?などを私が様々な角度から調べ、エッセイに致します。
 まず、ピアノはどの楽器に分類するのかといいますと、鍵盤を操作して音を出す楽器なので、鍵盤楽器に分類されます。鍵盤楽器といっても鍵盤を操作したときに発音される方法によって歴史と発展が大きく違ってきます。ピアノ以外の鍵盤楽器はピアノ以外にどのような鍵盤楽器があるのか、またいつ頃生まれてどのように発展を遂げたのかを見ていくことに致しましょう。

写真2の説明 鍵盤楽器の歴史はかなり古く、今から2000年以上昔までにさかのぼることになります。そして、かなり広い範囲の楽器類を含んでいます。ドイツの音楽学者、カール・ヴィルヘルム・ユリウス・フーゴー・リーマン(karl Wilhelm Julius Hugo Riemann 1849-1919)は次のように述べています。
 「オルガンはギリシャ語のオルガノンに由来し、この言葉は道具・器具・楽器などを意味する。聖書が「書物の中の書物」(ビブリア)という名を与えられたように、礼拝式を遂行するよく知られた楽器(オルガン)は「楽器の中の楽器」(オルガナ)の名を与えた。
 この言葉はオルガンの歴史を考えるときに、大変興味深いのですが、いずれにせよオルガンの前身は、非常に古い時代までさかのぼってたどることができます。
 まずは古代エジプトの時代に生まれた「水オルガン」を起源に持つ、オルガンの歴史と発展について見てみよう。
 オルガンの発音体のパイプは管楽器で、複数の管楽器を一人の演奏者によって同時に演奏することが、オルガンのアイディアのはじまりといわれています。
 アウロス、パンの笛、シリンクスなどのように、2本以上の笛を組み立てて複数の音を演奏できる楽器は、古くから世界各地に存在しました。今日、モーツァルトのオペラ「魔笛」の上演にあたって見られるパパゲーノが吹く笛も、この一種です。中国や日本にある笙(しょう)も、オルガンの前身の楽器の一つの形であるといわれていますが、この東洋の楽器はそれ以上のものには発展しませんでした。
 ピーター・ウィリアムズによると、聖アウグスティヌスはヴルガーク・ラテン語訳について、ここに用いられている「オルガヌム」は、ギリシャ語から派生したものであると説明し、この語の定義を、「すべての楽器というものを一般に表しているのであるが、多くのパイプからなる『ふいご』で風を送らせて鳴る楽器に対して特にあてられる」と述べ、注意をうながしています。
 
 


写真3の説明 しかしながら、今日オルガンとして示される楽器は、発音体として一列またはそれ以上のオルガンパイプ列を持っている鍵盤楽器であり、パイプを支持している風箱の中に弁とアクション装置とを備え、演奏機構とは関係のない送風装置を持っています。
 音楽の発展の歴史は楽器製作に種々様々な要求を行い、時代に適応したものを作らさてきました。これはピアノ音楽に顕著に出ています。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンのウィーン古典派時代のピアノと、リスト以降のピアノでは、アクション装置が違うからです。音楽史上に残る作曲家も、時代に応じてその時代の楽器のために作曲されたのです。オルガン音楽の歴史は、オルガンが教会において使用され始めた頃から始まりました。そして、教会の歴史とともに考えられることが多々あります。
 それが近世になると複雑で巨大な楽器に発展し、「楽器の女王」などと呼ばれるようになりました。そしてやがて、一般のコンサートホールにまで進出するようになっていきました。
 

写真4の説明 紀元前265年、エジプトのアレキサンドリアに住む床屋の職人(といっても当時の「床屋の職人」とは、現代の標準を適用するならば科学技師、あるいは外科医に相当する仕事もやりこなす「技術者」でした)であったクテシビウスという人が、水力によって空気を送り、手で弁を開閉する装置(鍵盤)によってパイプを鳴らす楽器を発明しました。これがいわゆる「水オルガン」であり、〈ヒュドラウルス〉とも称される古代オルガンです。
 この水オルガンの製作技術はアラビア人にも伝わり、「手で演奏するシリンクスを水オルガンと称する」などといった記事が残されています。
 水オルガンの技術はギリシャ地方にも広まり、改良されたあげく、やがて水力を使用せずに「ふいご」を使う空気オルガン〈ニューマチック〉が出現しました。
 これらはヒザンチン文化の一つとして各地に広まり、特にギリシャ地方で製作された楽器は、ギリシャの音楽とともにローマに伝えられたようです。後に「教会旋法」として知られるギリシャの音階の中には、この古代オルガンによって広められたものが相当あることが、学者たちの研究によって判明しています。
 これらの古代のオルガンがどのような形のものであったかは、モザイク画や貨幣面の彫刻として欧州各地の博物館に保存されたものの中に見ることができます。またカルタゴ等の遺跡からは、古代オルガンの模型が出土しています。なお特筆すべきものとしては、ハンガリーのアオンクムから発掘された実物があり、学者やオルガン製作者らによって復元が試みられました。
 こうした古代オルガンは、劇場や円形競技場で使用されていたようです。757年にコンスタンチヌス大帝のコプロニウムが、1台のオルガンをシャルルマーニュ大帝の父のぺパン・ル・プレクに贈ったことが公式記録として残されていますが、実物についての詳細なものはありません。
その2に続く。

似顔絵おゆみ
3歳でリトミックを含むソルフェージュを、5歳でクラシックバレエを、8歳でピアノを、9歳でトランペットを、その他は和声、対位法、作曲、指揮法、楽式論、西洋音楽史など、幅広く音楽を学ぶ。はじめはピアニストを目指していたが、諸事情により指揮者、作曲家、音楽学者と進路変更する。40代で某音大の楽理科(音楽学)に進学したく勉強を再開する。7月に某ピアノコンペティションに出場するために、現在プーランクの「3つの小品」を猛勉強中。



One comment to 【連載 おゆみの音楽エッセイ8】 鍵盤楽器の歴史と発展その1

  • 小川 京子  says:

    そうか、それでグレゴリオ聖歌てかうまれたのかな!

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